ウッチの郊外で、私たちはアルコール工場を占拠した。部下たちは言った。
「酒を補充する必要がありますね」
「どこへ入れるんだ?水タンクか?」
 飲料水用のタンクというのはアルミの合金でできていて、1つあたり2リットルの容量があり、蓋をネジでとめる形式だった。
「2日でベルリンまで行かれるわけじゃあるまいし、足りやしませんよ!」
「だったら90リットルの燃料タンクに入れるしかないだろう(ちなみに燃料タンクは2つ、それから予備用の潤滑油のタンクが1つあった)。酒でよく洗って、ギリギリ一杯まで入れたらいい。では作業にかかれ…」
「実は俺たち、もう入れちまったんですよね」
 さっきも話した通り、私たちは攻勢を続ける中でドイツ軍よりも前へ出ていたから、当然のことながらスピードを上げて前進しており、
機関手兼操縦手はハッチを開けっ放し、私も戦車長の席に座って、やはりハッチを開けていた。風があり、気温は10℃から15℃くらいで、隙間風が吹き込んできたよ。大隊長が「小休止!」の命令を下した。