昔々ある所に、Lorriane40tという可愛らしい名前の女の子が居ました。
彼女はフランスのリボルバー家という高貴な家の生まれで、素早い連射能力と早い足を兼ね備えた優等生…
すらっとした砲身、曲線も麗しい揺動砲塔は、それはそれは息を呑むような美しさだったと言います。
しかしそんな彼女にもただひとつ、大変な悩みがありました。
その名前に反して彼女は大変な―――デブだったのです。


リボルバー家の生まれとはいえ、当然普段は普通の戦車たちと同じように学校には通わなくてはなりません。
彼女が通うのはワールドオブタンクス学園でしたが、そこにはスリムで、グラマラスで、キュートな戦車が沢山居ました。
自分の体系にコンプレックスを抱えるLorrianeにとって、毎日学校に通うのは苦痛の日々でした…


「ねぇAMX50、私ってそんなに太ってるのかな」
休み時間、教室の一角で机に突っ伏しながら、Lorrianeは隣の席のAMX50 120ちゃんに呟きました。
AMX50 120ちゃんは同じtier9学年のお友達です。tier9に上がって以来、同じフランス出身でリボルバーを持つもの同士であるAMX50ちゃんはLorrianeちゃんのよき相談相手であり、気の許せる唯一の相手でした。クラスはHTとMTとで違いますが、間違いなく最高の友人です。
AMX50は砲塔をこちらに向け、Lorrianeを元気付けるように明るい表情で、
「何?また誰かに何か言われたの?」
「うん…今日の朝、E 50君がね、私のことLTのできそこないだって」
AMX50ちゃんは、ちっ、と舌打ちし、
「また、あいつ?自分もクソデブのくせしやがって」
「LTとして見れば車体デカすぎるし旋回性能も無いし、MTとしては旋回性能も無いって…」
「やめなよ、やめやめ。気にしないのあんなやつの言うことは」
「うん…でも…」
「あいつ、tier9になって調子に乗ってるんだよ。tier7の頃は毎日苛められて泣いてたくせして」
「うん…」
「後で私が4連腹パン炎上させといてやるから安心しな。相手するだけ無駄だよ」
「ありがとう…でも自動消火器積んでると思うよ、たぶん」
弱々しげに笑ってそう言うと、Lorrianeはまた砲塔を机に突っ伏してため息をつきました。それを見てAMX50もまた、大きなため息をつきました。