見渡す限りの白い雪原ストームパス、その中に私は立っていた

私は目が見えなくなったことで起床時間が早くなった
自然と朝の限定7PTを立てるのも早い時間帯になってしまう
こんな時間に人がいることは稀で、しばらく待つが結局一人で向かうことが常だった

しかし今日はいつもとは違い小さい子供が隣にいた
魔界の波動、そして微かにだが魔物の波動も共に感じる
魔物を召喚して戦うというメイジ、サモナー殿だ
PTに入ってくると「よろしく」と一言、礼儀作法が幼く感じるがそれは歳相応なのだろう
こちらも「よろしくお願いします」と返事を返し、しばらく他の加入がないか待つことにする

朝早いこともあり、やはり他の冒険者の姿は見えない
「なかなか人が来ませんね」 とぽつりとこぼすと
「うんうん」 と返事が返ってくる
元々そこまで手こずる魔物がいるわけでもなし、私は提案した
「このまま二人で行きましょうか?」
それに対しサモナー殿から 「うん!」 と元気のいい返事が返ってきた

その時、なぜだか光を失ったはずの目にサモナー殿の眩しい笑顔が見えた気がした
同時に胸が早鐘を鳴らすのを感じる
(この胸のタカナリは・・・?)
不可解な感情がわいてくるが戦いに赴く前に迷いは危険だとその感情を押し殺す

「では行きましょう」
いつもとは違うストームパス、自分の雪を踏み締める靴音の後に聞こえてくる小さな足音
昨日の夕餉が美味しかったからだろうか、昨日の夜よく眠れたからだろうか
今日はいつもより足取りが軽い、今日はいつも以上に戦える気がする
背中から感じるこの小さくも眩い波動のサモナー殿を守るために