>>20
○月○日
ヘンドンマイアを二人で探し回り、やっとサモナー殿を見つけることができた
エレマス殿が最初に見つけ、私もそれに続く
しかし私には、サモナー殿がどこにいるかわからなかった
そこには大勢人がいたのだが、視力ではなく波動で物を見る私がみつけられないのはおかしい
嫌な、非常に嫌な予感が胸を過ぎる
やがてエレマス殿は立ち止まり私の知らない波動を放つ者に「サモちゃん!サモちゃん!」と縋りつく
私は恐怖した。その者はサモナー殿ではない。何も波動を感じない、人形を見るような感覚
エレマス殿も異変に気づいたらしく、懐疑的に名前を呼ぶ
当のサモナー殿は「アバターカイトリマス」と、無機質に呟き続けていた
その者の波動はサモナー殿とは似ても似つかぬ。しかし声は、抑揚があまりないとは言え、間違いなくサモナー殿の物だった
私があまりのショックに膝をつき、愕然としていると、エレマス殿が震えながら口を開いた
「ごめんね、阿修羅さん。人違いだったみたい。この子、サモちゃんじゃない」
私は、視力を失ったのも、その代わりに波動の力を手に入れたのも、これまで一度も後悔した事はない
だがしかし、この時ばかりは嫌でも見えてしまう波動に呪いの言葉を吐きたくなった
どこまでも無機質な波動になってしまったサモナー殿。それを認めたくがない故、狂った波動を出すエレマス殿
「今日はもう疲れたし、この辺で終わりにしましょう。明日はロリエンまで足を伸ばしましょ。ホント、サモちゃんどこ行っちゃったのかしら」
そう言って帰路につくエレマス殿に、私は何の言葉もかけてやれなかった