レイドリーダーは今でも思い出す。早朝の駅前でのこと。

”ハピナスかよ…”
そう同じレイドメンバーの一人が呟いた瞬間、隣の子連れの母親の表情がみるみる曇っていったのだ―。
レイドは勝利に終わり子供は喜んでたが、その母親の顔に笑顔はなかった。
急いで子供の手を引っ張り立ち去ろうとしていたので、思わず
「あれゲットチャレンジまだですよね?よかったらおじさんが投げようか?」
自信はなかったが3球目でルギアがゲットできた。
「あ、ありがとうございます。すみません何の役にもたってないのに」
「無事獲れてよかった。忙しい中レイドに集まってくれるのが何よりですよ」
「ほんとすみません。お盆で主人の実家に来てたのでポケストの場所も分からず、かけらだけで
バトルしてました。長持ちしてくれるのでつい…。」
「土地勘ないと薬の補充も大変だからね。あ時間大丈夫ですか、御主人待たせてるでしょう」
「主人のお墓参りに来たんです…いい思い出ができました、ほんとにありがとうございます」

風が少しひんやりしてきた。
レイドリーダーの夏ももうじき終わりだ。