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ルギアに跨ってレイドバトルが開始されるのを待つ俺は恥ずかしい過去を思い出す

まだ伝説どころか強ポケも持っていなかった20歳の頃…
ポケGOを始めたのはいいが、当時学生だった俺に課金する金はなく 初見で一目惚れしたカイロスを連れ回していた
むしくい、はさむ、シザークロスを命じるとカイロスに伝わる感覚
そして風を切って攻撃する感動、全てが新しかった、虫タイプなのに立派な風格のカイロスに俺は酔いしれていた。
街中で他のポケモンを見かけては、隣に並んでメンチを切って威嚇した。
カイロスに敵う奴なんかいないと信じていた

そんな俺が現実を知る日は、突然やってきた
あの日もいつものようにレイド開始待ちで隣に並んだ
カイリューに乗ったオッサンを睨みつけつのを震わせて威嚇していた
だがオッサンは俺に向かってニコッと笑うと話しかけてきた
「かっこいいなぁ。それなんてポケモンだい?」
不意を突かれた俺は、強がって聞き返した
「そっちこそなんてポケモンだよ!デケーけど種族値いくつ?」
オッサンは余裕の笑みを浮かべながら言った
「これはカイリューさ。種族値は646だよ。で、君のはいくつなんだい?」

頭が真っ白になった
600以上のポケモンがいるなんて知らなかった。
カイロスの+80じゃないか…敵うはずがない…

そんなことを考えているうちにレイド開始となり
オッサンは、俺がどう足掻いても追いつくことができないスピードでボスのHPを削っていった
そして俺は今、あの時の俺そっくりなカイロスを連れた青年に話しかける
「かっこいいポケモンだね。強そうだなぁ、種族値いくつ?」
青年は一瞬驚いた顔をしたが、不敵に言い放った
「ご、565だよ!565!!勝負すっかゴラァ!」
レイドが開始されたことに気づき攻撃し出す。
カイロスを尻目に更に加速する 戦えるポケモンがいなくなり消えていくのは真っ白になったあの日の俺だった