ドラゴンクエスト・バトルロワイアルIII Lv5 [無断転載禁止]©2ch.net
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こちらはドラゴンクエストのキャラクターのみでバトルロワイアルを開催したら?
というテーマの参加型リレー小説スレッドです。
参加資格は全員にあります。
初心者歓迎、SSは矛盾の無い展開である限りは原則として受け入れられます。
殺し合いがテーマである以上、それを許容できる方のみ参加してください。
好きなキャラが死んでも涙をぐっと堪えて、次の展開に期待しましょう。
まとめWiki
http://seesaawiki.jp/dragonquestbr3rd/
避難所
http://jbbs.shitaraba.net/game/30317/
前回企画
ドラゴンクエスト・バトルロワイアルII
http://seesaawiki.jp/dqbr2/
前々回企画
ドラゴンクエスト・バトルロワイアル
http://dqbr.rasny.net/wiki/wiki.cgi
http://seesaawiki.jp/dqbr1/
DQBR総合 お絵かき掲示板
http://w5.oekakibbs.com/bbs/dqbr2/oekakibbs.cgi ----基本ルール----
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
勝者のみ元の世界に帰ることができ、加えて願いを一つ何でも叶えてもらえる。
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
----放送について----
スタートは朝の6時から。放送は6時間ごとの1日4回行われる。
放送は各エリアに設置された拡声器により島中に伝達される。
放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」
「残りの人数」「主催者の気まぐれなお話」等となっています。
----「首輪」と禁止エリアについて----
ゲーム開始前からプレイヤーは全員、「首輪」を填められている。
首輪が爆発すると、そのプレイヤーは死ぬ。(例外はない)
主催者側はいつでも自由に首輪を爆発させることができる。
この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、開催者側へプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
24時間死者が出ない場合は全員の首輪が発動し、全員が死ぬ。
「首輪」を外すことは専門的な知識がないと難しい。
下手に無理やり取り去ろうとすると首輪が自動的に爆発し死ぬことになる。
プレイヤーには説明はされないが、実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。
なお、どんな魔法や爆発に巻き込まれようと、誘爆は絶対にしない。
たとえ首輪を外しても会場からは脱出できないし、禁止能力が使えるようにもならない。
開催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にいると首輪が自動的に爆発する。
禁止エリアは2時間ごとに1エリアづつ増えていく。 --スタート時の持ち物--
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を配給され、「ふくろ」にまとめられている。
「地図」「コンパス」「着火器具、携帯ランタン」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「支給品」
「ふくろ」→他の荷物を運ぶための小さい麻袋。内部が四次元構造になっており、
参加者以外ならどんな大きさ、量でも入れることができる。
「地図」 → 舞台となるフィールドの地図。プレイヤーのスタート位置は記されているが禁止エリアは自分で書き込む必要がある。
「コンパス」 → 普通のコンパス。東西南北がわかる。
「着火器具、携帯ランタン」 →灯り。油は切れない。
「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
「食料・飲料水」 → 複数個のパン(丸二日分程度)と1リットルのペットボトル×2(真水)
「写真付き名簿」→全ての参加キャラの写真と名前がのっている。
「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
「支給品」 → 何かのアイテム※ が1〜3つ入っている。内容はランダム。
※「支給品」は作者が「作品中のアイテム」と
「現実の日常品もしくは武器、火器」の中から自由に選んでください。
銃弾や矢玉の残弾は明記するようにしてください。
必ずしもふくろに入るサイズである必要はありません。
また、イベントのバランスを著しく崩してしまうようなトンデモアイテムはやめましょう。
ハズレアイテムも多く出しすぎると顰蹙を買います。空気を読んで出しましょう。
--制限について--
身体能力、攻撃能力については基本的にありません。
治癒魔法については通常の1/10以下の効果になっています。蘇生魔法は発動すらしません。
キャラが再生能力を持っている場合でもその能力は1/10程度に制限されます。
しかしステータス異常回復は普通に行えます。
その他、時空間移動能力なども使用不可となっています。(ルーラなど)
MPを消費するということは精神的に消耗するということです。
全体魔法の攻撃範囲は、術者の視野内ということでお願いします。
※消費アイテムならば制限されずに元々の効果で使用することが出来ます。(キメラの翼、世界樹のしずく、等)
ただし消費されない継続アイテムは呪文や特技と同様に威力が制限されます(風の帽子、賢者の石、等)
【本文を書く時は】
名前欄:タイトル(?/?)
本文:内容
本文の最後に・・・
【名前 死亡】※死亡したキャラが出た場合のみいれる。
【残り○○人】※死亡したキャラが出た場合のみいれる。
【座標/場所/時間】
【キャラクター名】
[状態]:キャラクターの肉体的、精神的状態を記入。
[装備]:キャラクターが装備している武器など、すぐに使える(使っている)ものを記入。
[道具]:キャラクターがふくろなどにしまっている武器・アイテムなどを記入。
[思考]:キャラクターの目的と、現在具体的に行っていることを記入。(曖昧な思考のみ等は避ける)
以下、人数分。
※特別な意図、演出がない限りは状態表は必ず本文の最後に纏めてください。 【作中での時間表記】
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
真昼:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24
例
【D-4/井戸の側/2日目早朝(放送直前)】
【デュラン@DQ6 死亡】
【残り42名】
【ローラ@DQ1】
[状態]:HP3/4
[装備]:エッチな下着 ガーターベルト
[道具]:エッチな本 支給品一式
[思考]:勇者を探す ゲームを脱出する
━━━━━お願い━━━━━
※一旦死亡確認表示のなされた死者の復活はどんな形でも認めません。
※新参加キャラクターの追加は一切認めません。
※書き込みされる方はスレ内を検索し話の前後で混乱がないように配慮してください。
※参加者の死亡があればレス末に必ず【○○死亡】【残り○○人】の表示を行ってください。
※又、武器等の所持アイテム、編成変更、現在位置の表示も極力行ってください。
※具体的な時間表記は書く必要はありません。
※人物死亡等の場合アイテムは、基本的にその場に放置となります。
※本スレはレス数500KBを超えると書き込みできなります故。注意してください。
※その他詳細はスレでの判定で決定されていきます。
※放送を行う際はスレで宣言してから行うよう、お願いします。
※最低限のマナーは守るようお願いします。マナーはスレでの内容により決定されていきます。
※主催者側がゲームに直接手を出すような話は序盤は極力避けるようにしましょう。 5/6【DQ1】○アレフ(勇者)/○ローラ姫/○竜王/○ゴーレム/●ドラゴン/○スライム
5/7【DQ2】○ローレル(ローレシア王子)/○トンヌラ(サマルトリア王子)/○ルーナ(ムーンブルク王女)
.○ティア(サマルトリア王女)/●竜王のひ孫/●ネプリム(悪魔神官)/○ハーゴン
7/8【DQ3】○アスナ(女勇者)/○フアナ(女僧侶)/●ホープ(男盗賊)/○サヴィオ(男賢者)/○オルテガ
.○カンダタ/○バラモス/○パトラ(イシス女王)
5/8【DQ4】●ユーリル(男勇者)/○ライアン/○ブライ/●トルネコ/●アリーナ/○クリフト
.○ホイミン/○ピサロ
8/8【DQ5】○アベル(主人公)/○デボラ/○パパス/○リュビ(息子)/○サフィール(娘)/○ゲマ
.○ばくだんいわ/○ゲレゲレ(キラーパンサー)
7/8【DQ6】○レック(主人公)/●ハッサン/○チャモロ/○バーバラ/○アモス/○ターニア
.○デュラン/○ジンガー(キラーマジンガ)
6/7【DQ7】○アルス(主人公)/○マリベル/○キーファ/○フォズ/○メルビン/●アイラ/○ガボ
7/9【DQ8】○エイト(主人公)/○モリー/○ゲルダ/○ゼシカ/○ミーティア/○ヤンガス/○ククール
.●マルチェロ/●トロデ
6/7【DQ9】○アーク(男主人公)/○スクルド(女僧侶)/○コニファー(男レンジャー)/
.○ポーラ(女バトルマスター)○イザヤール/○サンディ/●エルギオス
7/9【DQ10】○ジャンボ(男主人公)/●魔勇者アンルシア/○勇者姫アンルシア/○セラフィ
.○ヒューザ/○ナブレット/●ズーボー/○ザンクローネ
3/5【JOKER】○ヘルバトラー/●ギガデーモン/●アンドレアル/○キングレオ/○バルザック
66/82名 テンプレ終了
続いて一時投下スレのSSを代理投下します 「あ、あの、マーサさま」
「なんですかパパス」
マーサとパパス――いや、ゲマとカンダタは、山を下りるべく西に歩を進めていた。
二人が目指すのはこの近くにある街、トラペッタ。
その途上、カンダタがゲマに声をかけた。
「その…この変装と偽名、やめた方がいいんじゃないかなって…」
「なんですって?」
「ひ、ひいいいい!すみませんすみません何でもないです!」
ゲマに凄まれ、慌てて平身低頭して謝るカンダタ。
そんなカンダタのプライドのない姿を気に入らないと感じつつ、ゲマは口を開く。
「…一応聞きましょう。何故やめた方がいいとおっしゃるのか」
「は、はい。その…正直、今のままじゃ他の参加者と出会う度に不審がられるんじゃないかって思いますぜ」
カンダタの言い分はこうだ。
現在、ゲマはマーサの姿と名前を借りて行動している。
カンダタはパパスの名を借りている。
しかし、この殺し合いの参加者には顔写真つきで名簿を全員に渡されている。
つまり、マーサという人物の名前、あるいは姿を持った参加者がいないことを全員が知っている。
そして、カンダタもパパスも名前と顔が割れているのだ。
「ですから、このまま他の奴らに接触したら、さっきみたいに不審がられて、正体を見破られちまうんじゃないですかねえ」
「ふむ…確かに一理ありますね」
カンダタの話を聞いて、ゲマは腕を組む。
なるほど確かに、彼の言う通り先ほどはデボラによってあっさり正体を見破られた。
そして、一度失敗したやり方を性懲りもなく繰り返すのは、愚者のすることだ。
彼の言う通り、やり方を変えるべきかもしれない。
「となるとさて、どうしましょうか」
変身を解き、素顔をさらすというのはダメだ。
元の姿では殺気を隠すことが難しく、不審を与えることになる。
それに、改めて名簿を見てみれば、デボラ以外にも彼の夫や彼らの息子、娘などの姿がある。
彼らから自分の悪評は広まっているはずだ。 となると他の参加者の姿を借りるべきか。
だが、出会った参加者が別の場所で化けた人物に出会っていたり、あるいは化けたその人当人と出会った時、面倒になる。
そうしてしばらく考え込んでいた時、ふと、自身の持つ袋が目に入った。
そう、先ほど石化したデボラを入れた袋を。
「…なるほど、その手がありましたね」
ゲマは変化の杖を使い、再び姿を変える。
マーサだったその姿は、たちまちデボラへと変わってしまった。
「これなら、大丈夫でしょ」
デボラの口調と声色をまねて、ゲマは言った。
デボラは現在ゲマが持つ袋の中におり、この先他の参加者が彼女と遭遇するということは起こり得ない。
そして、彼女が石化前に出会ったのはおそらくはあの紫竜と自分達だけ。
他から情報が伝わっている可能性は低い。
故に、この姿なら不審に思われる可能性はかぎりなく低いという事だ。
もっとも、デボラが正体を見破ったように、彼女の夫のアベルや息子、娘たちは自分の変装に違和感を感じ取って正体を見抜いてしまうかもしれない。
しかし、もしそうなったとしても問題はない。
なぜなら今の自分には、【本物のデボラ】という人質がいるのだから。
(いやはや家族愛とはすばらしいものですねえ…こんなにも利用価値があるのですから!)
かつてアベルを人質にされてパパスが全く抵抗できなかったように。
石化したデボラの姿を見せれば、彼らは従順に自分に従ってくれるだろう。
「それじゃ、行くわよ」
「あ、あの…俺の名前は」
「ああ、そういえばそっちの問題もあったか。ったく、下僕のくせに面倒かけてんじゃないわよ」
出発を再び邪魔されたことに内心気に入らないと感じつつ、デボラに扮したゲマは面倒くさそうに思案する。
といっても、こっちの問題はすぐに解決だ。
元々彼にパパスと名乗らせたのはただの気まぐれにすぎない。
それが不都合だというなら、やめればいいだけだ。
「しょうがないわねえ、本名名乗っていいわよ。ただし、あたしの事はちゃんとデボラさまって呼びなさいよ!」
「は、はい!デボラさま!」
こうして、デボラに姿を変えたゲマは、下僕を引き連れ再び歩きだしたのだった。
「ところで、あんた名前なんだっけ?」
「カンダタですよっ!」 【G-1/山/昼】
【ゲマ@DQ5】
[状態]:HP9/10 MP4/5 デボラの姿
[装備]:てっかめん グレイトアックス@ダイの大冒険
[道具]:支給品一式 変化の杖 デボラの石像
[思考]:この殺し合いをぶち壊す。
【カンダタ@DQ3】
[状態]:HP1/2 素顔
[装備]:おしゃれなスーツ、パパスのつるぎ
[道具]:支給品一式 こんぼう
[思考]:ゲマに従いエビルプリーストを打倒する。あとデボラさまって呼ぶ。
【デボラ@DQ5】
[状態]:石化(装備ごと石化しています)
[装備]:奇跡の剣、ダイヤモンドネイル、水の羽衣 光竜の守り@DQ8
[道具]:支給品一式
[思考]:自分を貫き、エビルプリーストに反逆する
※石化の術はDQ5本編よりも弱体化しています。
呪いの解呪方法や上位の状態異常解除方法ならば石化を解ける可能性があります。
(シャナク、万能薬、月のめぐみ等) 殺し合いをしろ。
突然そう言われて、果たしてどれだけの者がはいそうですかと従うだろうか。
ローラとて、見知らぬ魔族に見知らぬ世界へと放り込まれ、初めは戸惑っていた。
きっかけとなったのは、やはり彼との出会いだろう。
この身に愛する人との子を授かったと気付いたのは、殺し合いに巻き込まれるほんの少し前。
自分の国を探すというアレフについて行ったものの、次第に体調が思わしくなくなり、慣れない旅に疲れたのだろうと判断したアレフの勧めもあって、一度ラダトームに戻ることになった。
もしやと思い侍女に相談し、医者に看てもらい、身籠っていると言われた時はいたく喜んだものだ。
父王は口では勇者アレフとの子ならばと言いつつどこか複雑な顔をしていたものの、ローラはそんなことにも気が付かないほど舞い上がっていた。
ーーアレフ様には、どのようにお伝えいたしましょう。
ーー名前はどんなものがよろしいかしら。
ーー男の子かしら。女の子かしら。男の子だったら、きっとアレフ様に似て勇敢な子になりますわ。
ーーアレフ様との子を授かり、私は幸せです。
恍惚と思考を巡らせながら、早速アレフにも報告しようと思っていた。
浮き足立ってアレフに宛がわれた部屋を訪れ、ノックをするも返事を待ちきれず戸を開け放ちーー
ーーそこで告げられた。最後の一人になるまで殺し合え、と。
わけが分からなかった。
自分は愛する人との子を授かり、幸せの中にいたはず。
見慣れた城の、見慣れた戸を開き、見慣れた部屋には最愛の人がいたはず。
なのに何故、今自分は絶望に染められた顔をしているのか。
見慣れない場所で、見慣れない魔族に、その最愛の人と殺し合えなどと言われているのか。
頭を混乱させながら支給されたふくろを受け取り、気付けば小高い場所にある小屋の前に立っていた。
大量の水によって少し冷えた空気に肌を刺激され、漸く冷静さを取り戻す。
そして真っ先に分かったことといえば、自分は今、竜王によって囚われた時以上の絶望の淵にいるということだった。
恐怖心から再び頭が混乱しそうになった時、声をかけてきたのが、他でもない彼。
ローラが毒を盛り、アレフがその首を斬り落とした男、ハッサンだった。
「嬢ちゃん……いや、その格好を見るに姫さんか。大変なことに巻き込まれちまったな」
敵意もなく、それどころか笑顔を見せて近寄ってきたハッサンを見て、ローラはその時は確かに、僅かながら希望を取り戻した。
「答えて下さい! 貴女たちが、ハッサンさんを殺したんですかっ!」
気絶している間に助けてくれたらしいチャモロと名乗った少年が、鋭い眼差しを向けてくる。
誤魔化すことは、できない。
少ない手掛かりから導きだされた推測に誤りはなく、またチャモロ自身、確信を持って問い詰めている。
そして何より、ここで誤魔化しては、固めた決意が崩れさってしまうだろう。
震える掌を握りしめ、ローラは精一杯の力を込めた目を、チャモロのそれに真っ直ぐ合わせた。
「……ええ。私たちが……彼を殺しました」
「……ッ!」
譲れない決意を貫こうとする言葉に、分かっていたとはいえ、それでもチャモロは唇を噛む。
許せないと叫ぶ荒ぶる気持ちを辛うじて抑え込み、震える声を絞り出した。
「ハッサンさんは……決してこんな馬鹿げたゲームに乗るような人ではありませんでした。
共に旅路を歩み、共にパラディンの道を歩んだボクには……あの人がこの世界において、どのような行動を起こしたかも予想できます。
あの人は、戦う力のないであろう貴女を守り、この殺し合いを止めようと言ったのではないですか?
そして、許されざることを平然と行う主催者を打ち倒そうとも」
「……その通りですわ」
「ならば、何故……!」
「だからです!!」
「!?」
ローラの悲痛な叫びに、思わず怯んでしまう。
怒りか悲しみか憎しみか、複雑に入り雑じった色をその声に滲ませ、ローラは溢れる言葉をチャモロにぶつけた。
「だからです……! それが人として選ぶべき道とは分かってます。でも……それではダメなんです。
運良く生き延びることができたとしても、この世界を脱出する為には、恐らく私たちを呼び寄せたあの魔族と戦うしかないのでしょう」
出会ってすぐにハッサンが言っていたことを思い出す。
ハッサンがいた世界には現実と夢の二つの世界があり、魔王デスタムーアによって本来干渉し合えないはずの世界達を歩き渡るくことが可能になっていた。
デスタムーアを倒すことで、その力の影響は失われた。
『だから、あのエビ……エビ……アイツをぶっ倒せば、アイツの力で連れて来られた俺たちも、元の世界に戻れるハズだ!』
大柄な体格に見合う力強い声と、本気で気遣ってくれていることが分かる誠実な瞳に安心感を抱いていたローラは、その一言で希望を打ち砕かれたのだった。
「私には戦う力はありません。ですが、それだけでは抗うことを諦めなかった……!」
例えば道具の管理や、ハッサンに支給されていた杖などでの仲間のサポート。
そういったことなら、戦いの心得がなくてもできるだろう。
「自らの行動が人道に悖ると自覚しているなら尚更、何故人殺しに走ったのですか……!」
「アレフ様の……我が子の為です」
言い切って、ローラは自らの腹部に手を当てる。
そこにいる赤子を想うと、それだけで手の震えは止まった。
「これだけの大規模なゲームを開催するほどの力の持ち主です。戦うとなれば、激戦になるのは必須のはず。
私が傷付くだけならば、構いません。ですが、この子がそんなことに耐えられるわけがない。
確実に、安全にこの子を生む為には……最後の一人になるしかないのです」
生き長らえながらも、自らに宿った命の火が消えてしまったとしたら。
考えた未来の中で最も恐ろしいのがその末路だった。
ゲームを生き残った者たちが協力して悪しき主催者を打ち倒す。
成程美談だ。しかし、それはローラにとってのバッドエンドに最も近いものでもある。
美談と引き換えに我が子を失うくらいなら、我が子の為に美談を捨て去ろうではないか。
それが、ローラの出した答えだった。
「…………」
我が子の為。その言葉に、チャモロは動揺していた。
ハッサンを殺めた彼女たちも、本来なら掴んでいたはずの幸せを踏みにじられた被害者だというのか。
こんな殺し合いに巻き込まれなければ、いずれ誕生した子を腕に抱え、アレフという鎧の男と笑いあっていたのだろうか。
そこまで考え、再び怒りが燃え上がり始めた。
命を弄ぶゲームを強要するエビルプリーストへの……そして、ローラたちへの怒りが。
「……貴女を突き動かした理由は分かりました。ですが……ならば尚更、貴女たちを許すわけにはいかない」
最早激昂を抑えきることができず、次第にその声は険しくなっていく。 「我が子の為という言葉で差し伸べられた手を自ら振り払って!
他の道がないか、子を守って脱出できる術がないか、探ることすら勝手に諦めて!
そんなのは、ただ逃げてるだけだ! 思考を停止して、楽な道に逃げてるだけだ! 貴女たちが手に掛けたハッサンさんの命から、逃げてるだけだ……!」
自分が辛い目に遇っているなら、誰かを傷付けていいのか?
我が子の為という言い訳があるら、人を殺めてもいいのか?
目の前の姫は、奪った命を背負えているか?
「貴女はその身に抱えた命すら背負えていない。言い訳にしているに過ぎない。
言い訳して、人の命を奪うことの重さから逃げている!」
ローラの手が強く握られ、その表情は固くなる。
この地に連れてこられてからの数時間を思い出しているのだろう、目はぎゅっと閉じられた。
「…………。……そう、ですね。そうかもしれません。私は……命を背負う覚悟が、足りてなかったのかも……いえ、足りていませんでした」
やがてか細い声で、ローラは呟いた。
ハッサンを殺そうとして、アレフに見つかり慌てふためき。
アレフがハッサンの首を落として共に戦うと言ってくれたことに、とてつもない安堵を覚え。
思えば確かに、覚悟が足りていなかったように思える。
ただ命を奪うだけよりも許されないことだろう。
「……貴方のおかげで、目が覚めましたわ。ハッサンさんになんと謝ればよいか……」
「その気持ちがあるだけでも、多少は浮かばれるでしょう。命はもう戻らないけれど、向き直るには、まだ遅くはありません」
ローラの言葉に、チャモロは漸く気持ちを落ち着けることができた。
もうあの人の好い笑顔は見られないけれど、それでも、その死は無駄にはならないだろうから。
(ハッサンさん……貴方の命は、きっと紡ぎます。貴方の無念を、きっと晴らしてみせます!)
「それでは、早いところ今後のことを決めてしまいましょう。またあのターバンの男に襲われたら、私たちだけでは危険ですから」
「そう……ですわね」
無理矢理唇を奪われたことを思い出してか、ローラはぶるりと震えた。
それも愛する男の前でのこと、まだショックは残っているのだろう。
チャモロも本音を言えばアベルを止めたいところだったが、ドラゴンへの変化という切り札は既に意味を為さない上に、ローラを守りながら戦ったところで勝ち目はないと分かっている。
悔しいけれど、今アベルに再戦を仕掛けるわけにはいかないのだ。 「私は貴女を南に向かったアレフさんの元に送り届け、彼が殺人を行うのを食い止めたいと思っています。ですが……今すぐ追うのは難しいでしょう」
「南……というと、あの人がいる方角ですね……」
地図を確認しながら、落胆してローラが呟く。
その腕から逃れても尚、アベルに捕らわれているように感じてしまう。
「それもありますが、もうひとつ。すぐに追い付けたところで、キラーマジンガが同行しているんです。迂闊に近付くことはできません」
「キラーマジンガ……アレフ様を痛め付けた、あの機械の魔物のことですか?」
「ええ。凄まじい威力の斬りつけに、矢による遠距離攻撃、更にはマホカンタが展開されていて魔法による攻撃も通じない……強敵です」
海底神殿などでの戦いを思い出す。
少しの油断も許されない、激戦と呼んでもいいだろう、厳しいものだった。
回復の手段が限られ、戦いの心得のないローラと二人で向かうのは無謀でしかない。
ドラゴンの杖による竜化も、キラーマジンガのドラゴン斬りの前には大した手段にはなりえないだろう。
「私たちが意識するべきことはみっつ。
ひとつ、ターバンの男に見つからないこと。
ふたつ、アレフさんたちに追い付くこと。
そしてみっつ、これはできればですが、共に戦ってくれる仲間の確保。
私はこれらを踏まえ、一度東の森に向かうことを提案します」
「東の森に?」
「ええ。といっても、今度はアレフさんたちに追い付くのが困難になるので、深く踏み込むことは避けますが」
地図を指差しながら、チャモロは説明を続ける。
「北の町に向かうなら、仲間の確保という点は達成されるでしょう。拠点とできる場所なら、人が集まりますから。
ですが、ゲームに乗っているターバンの男も、ほぼ確実に現れる。下手を打てば、町に辿り着く前に追い付かれる可能性があります。危険度はかなり高い」
次に、と言いながら指を動かす。
「西に向かうなら、ターバンの男からは逃げられるかもしれない。
しかし、更に西へ続く道もあるため、仲間を探すのは難しくなる。アレフさんたちからもかなり離れるので、彼らに追い付くという目的も達成しづらい」
最後に東に指を滑らせる。
「東では、北の町に向かうほど仲間を得られる可能性は高くないでしょう。ですが、東から行動を始めた場合、向かう先は限られてくる。西に行くよりは、人と出会い易い。
更に、森の先に道はないので、ターバンの男も逃げてきた私たちが逃げ道の少ない場所へ向かうとは考えないでしょう。
そして何より、南へ向かう道もそんなに遠くはない。最も合理的な選択のはずです」 チャモロの説明にローラは成程と頷く。
アベルに会いにくく、尚且つアレフに追い付き易いというのなら、ローラに反対する理由はない。
「ですが、東で人に出会うことができなかった場合は、どうするのです?」
追い付くことはできてもアレフの前に出られない、というのは心苦しい。
そんな思いも込めて、尋ねる。
「東にも村があるのですから、そこにも人は集まるでしょう。最も、アレフさんが向かっている以上、追い付いた頃には戦闘になっている可能性も高いですが……」
言いつつ、チャモロは目を伏せる。
チャモロ自身その場合厄介な事態になるのは分かっているが、今はそれしか選ぶ道がない。
ローラな行動を逃げだと糾弾しておきながら運に賭けることが悔しいのだろう、複雑な顔をしていた。
身を整えるのもそこそこに、二人は早速東に向かって歩き出した。
しかしハッサンの死という出来事から、その間にある空気は張りつめていて、会話らしい会話すらない。
そこには、ひたすら静かな歩みがあるだけだ。
(アレフ様、待っていて下さい。このローラ、すぐにお側に参ります。
私が追い付いたら、その時はーー今度は、アレフ様ひとりに誰かの命を背負わせることはいたしません。
私も、共に戦い、共に命を背負いますわ)
チャモロの後に続きながら、ローラはアレフへの想いを巡らせる。
チャモロに突き付けられ、自分の覚悟の甘さは自覚した。
それでもローラは選んだ道を変えようとは思わなかった。
彼女を頑なにさせる理由。それはアレフにあった。
我が子の為に、既にアレフは手を汚しているのだ。
今更ひとりで改心して新たな道を選ぼうなどと、言えるはずがなかった。
アレフはローラとの愛の証、ローラとの子の為に、覚悟を以てハッサンを殺めた。
ならば自分も覚悟を以て、彼との愛を貫く為に戦おう。
そう、決意を新たにしたのだった。
(まずは隙を見て、チャモロさんを……殺さなければ)
もう命を背負う重さから逃げはしない。
再びアレフに会う為の、ローラなりのけじめとして。
まずは目の前の少年を殺そう。 「ああ、ひとつ言っておきましょう」
一度歩みを止め、チャモロはローラを振り返る。
「貴女をアレフさんの元に送り届けるとは言いましたが、私は貴女方を許したわけではありませんから」
二人ともに逃げを選択させないこと。その為に貴女を送り届けるのです。
そう言うチャモロの目は、ローラを問い詰めた時と同じく、鋭いものだった。
ローラは何も言い返せず、ただ合わされたその目を逸らさないことしかできなかった。
【G-4/平原/昼】
【ローラ姫@DQ1】
[状態]:ショック
[装備]:毒針
[道具]:支給品一式、銀のティーセット 草・粉セット
ハッサンの支給品(飛びつきの杖 引き寄せの杖 場所替えの杖)
[思考]:愛する我が子の為、アレフとの愛を貫く為にに戦う
アレフに会いたい
【チャモロ@DQ6】
[状態]:HP8/10 ※竜化した場合、片翼損傷(飛行不可能)
[装備]:ドラゴンの杖@DQ5
[道具]:支給品一式 支給品1〜2(本人確認済み)
[思考]:ハッサンの意思を継ぎ、ゲームを止める
ローラをアレフの元に送り届ける、命から逃げるのは許さない
[備考]:チャモロは少なくとも、僧侶、武闘家、パラディンをマスターしています。 代理投下終了ですがタイトルとトリップミスってました
正しくはこっちです >対策、新たなる姿
捕えたデボラの姿に化けるというのは合理的な判断
しかしこのゲマノリノリ過ぎるw
>命の重さ、愛の固さ
子供のためって理由じゃそう簡単に改心は出来ないよなぁ
チャモロは大丈夫だろうか ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています