――今回のGamescomに合わせて、NVIDIAの新GPU「RTX」のシリーズが発表されました。
今後PCの描画能力が上がっていくと、ゲームのグラフィックスも今後さらにリッチになっていくと思います。
その場合、「FFXIV」のPC版にさらに上位のグラフィックス設定が加わる可能性はありますか?

吉田氏: 最近これをよく聞かれます。先日中国でも聞かれたので、世界中でちょっと注目のポイントなのかなと思っています。
将来的に上げる可能性があるかというご質問の場合は、たぶん「イエス」で、可能性はあると思っています。ただ、今計画しているかというと、これは「ノー」です。なにも計画はないですし、マイルストーンの中にも入っていないです。

 これは理由が明確にあります。新しいグラフィックスパイプラインや新しいグラフィックスの研究は、もちろん第5ディビジョンの中でもやっています。
僕らも最新のゲーム作りから離れる訳にはいかないので、テストもしています。
でも「FFXIV」には現状装備だけで2万アセットくらいあるんですが、これを新しいパイプラインに全部乗せ換えるとすると、果たしてどれだけのコストが必要なのかというと、あまり考えたくないレベルです。

 「FFXIV」はPS3にも対応させるために、グラフィックスのテクノロジーパイプラインが今より2世代前のものなのです。
今のパイプラインに合わせようとすると、ハイモデルが用意されているものに関しては、ハイモデルに置き換えていけばいいんですが、そうではないものもある。
最初からコスト削減のためにローモデルで作っているものがたくさんあるので、それは全部ハイモデルに作り直さないと、せっかくグラフィックス性能が上がっているのに綺麗に見えないんです。

 それだけのコストをかけて今やらないと、他との競争力がないかと言われると、少なくともMMOというジャンルの中ではまだ十分に競争力があるので、いま焦ってそれをやる必要がない。
それに、そのGPUが搭載されているPCが、何割のプレーヤーに広がるんだろうというところも計算にいれないといけない。
さらに、コンソールでも「FFXIV」をサービスしている以上、グラフィックスパイプラインが混在するのは絶対に避けたいんです。
だとするとPCだけを見ているわけにはいかないので、例えばプレイステーション 4が次の世代に代わるというタイミングでなければ検討するのも難しいんです。
今はとにかくどうやって今のアセットを効率よくたくさん作るかという所を伸ばすべきだなと考えています。

――グラフィックスの研究は、将来出るかもしれないPS5なども含めての研究ということなんですか?

吉田氏: スペックで考えているのではなく、この先のグラフィックスパイプラインのトレンドがどこへ行くかを研究しています。
最低限これらが使えないと欧米と太刀打ちできないものとか。ちょうどCEDECでうちのスタッフがグラフィックスの講演もやっていますが、結構なレベルで研究もしています。
ちゃんと研究しておけば、どんなスペックのハードウェアがでてきたとしても対応できるようになるので、スペックではなくテクノロジーベースで見ています。
https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1139698.html