――福原さんご自身がかつて『ギルティギア』シリーズをやり込んでいらしたということですが、『グラブルVS』も同シリーズのようなスピーディーなコンボゲーになるのでしょうか?

福原 コンボゲーにはならないです。コンボゲー自体は楽しいし好きですが、初心者やゲーム慣れしていない人が触れるには敷居が高く、敬遠される要因のひとつであると考えています。
それこそスマホアプリしか遊んだことがないような方であったり、
ふだんから格闘ゲームに慣れ親しんでいないユーザーにも十分に楽しんでもらえることを念頭に置いていて、すべての必殺技をワンボタンで出せるようにするなどのアレンジを加えています。

そもそもプレイステーションを触ったことがない人は、まず「△ボタンってどれ?」という感じで、コントローラを目視で確認して……というプレイをする可能性もありますからね。
これに関しては、アークさんからも「格闘ゲームの裾野を広げるためにやってみたい」とおっしゃっていただけていて、両者の意見が合致していているところでもあります。

――格ゲーのみならず、据え置きのゲーム機に触れてこなかった人にもハードルの低いゲームになっているということですね。
その一方でesportsでの盛り上がりを目指すということは、ゲーマーに向けた奥深さもある、と?

福原 もちろん、ふだんからやり込んでいる方に対しても、アクションや駆け引きに奥行きを持たせて楽しんでもらえるような作りにしています。
そのあたりは、アークさんの持つノウハウを活かしていると、期待していただいて大丈夫だと思います。
esportsは、そのゲーム自体に詳しくないと、観戦していても「何が起きているのかわからない」という問題があると感じていて、
それが競技としての格闘ゲームが抱える現在の課題にもなっているので、ゲームそのものをわかりやすくすることも『グラブルVS』の目的のひとつとなっています。
具体的には「ゲームスピードは抑えめで、コンボも極力シンプルに」などといった感じです。

――確かに、現在は実況、解説の方の技量に頼っている部分もありますからね。

福原 ですから、たとえば“拾い”とか“エリアル”という、初心者が観ていてパッと理解できないような難しい要素も、
現状かなり限定的な状況でしか行えないゲーム性になっています。
目指すところとしては、『ストリートファイターII』シリーズのように、10年振りに触ってもすんなり楽しめるというものを考えています。
リュウやケンに対して、ガイルとかブランカってけっこう特徴的だけど、やるべき動きかたが明確で、それなりに動けるじゃないですか。そういった感覚を目指しています。

――空中に浮かせてコンボをつないだり、というのではなく、差し合いの駆け引き、みたいなゲームになるということですね。
https://s.famitsu.com/news/201812/15169322.html