「僕がワーナーブラザースに出向いて,『ルーニー・テューンズ』のゲーム向けライセンスをくださいとお願いしたら,
彼らは『任天堂が怖いから嫌だ』って言うんですよ」

 豊田氏はそう言って,回想を始めた。Nintendo Entertainment System(北米版のファミリーコンピュータ)が
北米のゲーム市場を席巻していた時代のエピソードだ。

 「あの頃の任天堂は,絶対的な力を持っていたんです。ハリウッドの映画会社で最大手のワーナーですら
任天堂を怖がっていたわけですが,SoAはそんな状況を切り崩していったんです」

中略

 「これは本当か嘘か分かりませんが,任天堂が『Night Trap』の刺激が強い部分だけを30秒くらいに編集した
ビデオテープを200本ほど作って,政府関係者やメディアに,『セガのゲームは公序良俗に反しているので規制せよ』
という趣旨で配布したという噂があったんです。
 そんな噂がまことしやかに語られるくらいに,当時のセガと任天堂の関係は緊張していたとは言えるでしょう」

 そうして開かれた公聴会は,セガと任天堂がそれぞれの主張を戦わせるような構図になった。

 「セガからは,任天堂のプロモーションチームからセガに転職したビル・ホワイトが参加して,『ゲームはもはや
子供だけのものではなく,映画のように幅広い人達が楽しむものになっています。セガは半年以上前に,自主的に
ゲームのレーティングシステムを導入しました。そうやって子供たちを守っているのです』という主張をしたんです。
 一方任天堂さんは,分かりやすく言うと『任天堂は子供向けのものを中心に作っているから,暴力表現には
関りがない,健全だ』という趣旨の発言をしたわけですね。
 それを聞いたビルが,机の下から,任天堂のバズーカ砲(SNES用の周辺機器「スーパースコープ」)を
取り出して『あれ? これってどこの商品でしたっけ?』とやったんですよ(笑)」

https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20190525015/