0001名無しさん必死だな
2020/01/19(日) 14:44:39.49ID:TT6txCE80ほかの海の生き物であれば、これですべてがおしまいである
しかし、タコのメスにとってはこれから壮絶な子育てが待っている
卵がふ化するまでの期間は3〜6ヶ月程度
これだけの長い間、メスは卵を守り続けるのである
この間メスは一切餌を獲ることもなく、片時も離れずに卵を抱き続けるのである
「少しくらい」とわずかな時間であれば巣穴を離れてもよさそうなものだが
タコの母親はそんなことはしない、危険にあふれた海の中では一瞬の油断も許されないのだ
もちろん、ただ、巣穴の中にとどまるというだけではない
母ダコはときどき卵をなでては、卵についたゴミやカビを取り除き
水を吹きかけては卵のまわりの澱(よど)んだ水を新鮮な水に替える
こうして、卵に愛情を注ぎ続けるのである
餌を口にしない母ダコは次第に体力が衰えてくるが卵を狙う天敵は常に母ダコの隙を狙っている
また、海の中で隠れ家になる岩場は貴重なので隠れ家を求めて巣穴を奪おうとする不届き者もいる
中には、産卵のためにほかのタコが巣穴を乗っ取ろうとすることもある
そのたびに母親は力を振り絞り、巣穴を守る
次第に衰え力尽きかけようとも、卵に危機が迫れば悠然と立ち向かうのである
こうして月日が過ぎてゆき、ついにその日はやってくる
卵から小さなタコの赤ちゃんたちが生まれてくるのである
母ダコは卵膜にやさしく水を吹きかけて、卵を破って子どもたちが外に出るのを助けるとも言われている
卵を守り続けたメスのタコにもう泳ぐ力は残っていない
足を動かす力さえもうない、子どもたちのふ化を見届けると母ダコは安心したように横たわり
力尽きて死んでゆくのである