https://note.com/syosin_kai/n/n0f8e05d43d8b

ブルートというフランチャイズがある。1988年に設立されたゲーム系フランチャイズであり、1991年に他の有力フランチャイズと協力し、任天堂とライセンス契約を結びファミコンの積極販売を行い、そこから中古の取扱を始め一気に駆け上がった大手だ。中古の取扱の難しさは価格設定にあるが、ブルートは市場動向を見ながら買い取り価格と販売価格を設定できるシステムを独自に開発した。最盛期には店舗数が300を越え、これは日本一の数にあたった。
1994年、特約店探しをしていたSCEは当然この大手フランチャイズを訪問する。その際に説明受けた「小売価格維持」「リピート重視」「中古禁止」の理念に、ブルート社長山崎光春は感銘を受けた。

「中古ではなく、新品を売って利益を得られるならこれほど素晴らしいことはない」

もともとブルートは中古を売ることで事業を拡大してきたフランチャイズだ。しかし山崎社長はこのゲーム業界の先を読もうとした。

「SCEがどれだけシェアを取れるかわからないが、CD-ROMという新たなメディアの登場でゲームソフトの低価格化は避けられない。価格が下がれば、中古ソフトが存在する理由は薄れていく」

一万円したスーパーファミコン用ソフトに対して、子供でも買いやすい低価格な中古市場。しかし5800円、6800円と新品の価格自体が下がれば中古の意義は薄れる。75掛けという掛け率がネックになったが、SCEとの今後の交渉次第だ。こう考え、ブルートは大手フランチャイズの中ではかなり早い段階でSCEと契約した。そしてプレイステーションを応援する小売となった。

プレイステーションの中古販売は行わない。ブルートの方針に加盟店は戸惑った。今まで利益を支えていたのは中古なのだから。「中古ソフトを扱えないことで経営が成り立たない加盟店が、ある程度脱落していっても仕方ないと割り切っていた」とブルート元社員は語っている。

山崎社長の読みは見事に的中した。SCEは飛躍的にシェアを伸ばし、1997年時点でソフトシェアを6.5割ほどまでに伸ばしたのだから。スクウェアとエニックスもやってきた。今後の伸びも期待できる。