『星のカービィ』シリーズや『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズでお馴染みのゲームクリエイター・桜井政博氏が、YouTube上でゲーム作りのノウハウを公開している。先日公開された動画ではRPGなどの「おつかい」について取り上げ、ゲーマーの間で話題になっていた。

良いおつかいと悪いおつかい

話題になっているのは、YouTubeチャンネル『桜井政博のゲーム作るには』にて公開された、『良いおつかい、悪いおつかい【企画・ゲーム設計】』という動画だ。

RPGのNPCに何らかの依頼をされ、それを達成するのがいわゆる“おつかいクエスト”と呼ばれるが、桜井氏によると「良いおつかい」と「悪いおつかい」があるのだという。

まず「悪いおつかい」の例を見ていくと、「重病にかかったかわいそうな子のために、平原で薬草を拾ってきてください→そうしたら村に帰ってきてください→つぎは調合のためのすりこぎが必要です。隣の街で買ってきてください」といったもの。たしかに、これではクエストをクリアしようというモチベーションが削がれてしまいそうだ。

ではどのようにすれば、ワクワクするような「おつかい」になるのだろうか。桜井氏は「良いおつかいの条件」として、「報酬、見返りが適切」「喜びを得るスパンが短い」「攻略の自由を与える」「結果が出たら素早く撤収させる」「展開に期待を持たせる」の5つを挙げていた。

「悪いおつかい」が批判されたゲームといえば?

実際に最近人気のRPGは、桜井氏が挙げた「良いおつかいの条件」をクリアしている作品が多いように思える。

たとえば「結果が出たら素早く撤収させる」なども、昨今のRPGでは良くある要素。わざわざ目的達成後に依頼主のもとに帰らなくてもその場でクエストが完了したり、ファストトラベルで依頼主の場所にパッと移動できたりと、さまざまな工夫が見られる。

そんな桜井氏のおつかい論に、視聴者からは《RPGって極論するとおつかいの塊だから、今回の話はゲーム全体の作り方に通じる物があるよね》《帰り道を楽にするのはマジで共感した》《おつかいも見せ方次第で良くなるんだなぁ》といった声が。

またネット上では、《日本のゲームは悪いおつかいが多すぎる》といった問題提起も。有名どころで言えば、『ファイナルファンタジーVII リメイク』もおつかい要素が「水増し」と批判されていた。

「化けネズミを倒してほしい→倒して報告→それは化けネズミじゃない→もう一度同じところに行って倒す」といった、悪いおつかいの典型例のようなクエストが序盤からあり、うんざりするプレイヤーが続出。

あの有名配信者・兄者氏すらも、ツイッター上で《どうも戦いのテンポとお使いクエストの移動する度に疲れてしまう…》と苦言を呈していたほどだ。

そもそも「魔王を倒して欲しい」や「世界を救って欲しい」なども広い意味では“おつかい”なので、おつかいの質はそのままRPGの質と言っても過言ではない。プレイヤーのゲーム体験を向上させるような、「良いおつかい」が散りばめられた新作ゲームに期待したい。

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