0001名無しさん必死だな@無断転載は禁止
2017/04/05(水) 18:44:01.97ID:Ze9UHUl10さっそくプレイ記事の寄稿を打診したところ1週間後に届いたのは、Webメディアのコラムとしては常識ハズレの分量の大大大長文(!)。
しかし今回のゼルダの歴史的意義を雄弁に語った論考であるとして、一挙掲載をすることに決めた。
本稿の1ページ目は、歴史的視座の分析。元任天堂スタッフとしての視点も交えつつ、この20年における世界のゲーム動向から見たゼルダ新作の意義を把握する。
そして2ページ目は、詳細なレベルデザインの分析にもとづく、ゲームデザインの新規性の把握。
昨今隆盛の「オープンワールド」はその通過点にすぎなかったかもしれない――として岡本氏の提唱する「第三の波」とは何か。
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「ついに悲願だった広大な世界の冒険を実現するんだな……」
「凍っていた時間が再び動き出した」
3年近く前、2014年6月のE3で発表された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、『ゼルダBotW』)の新作を見て、私は感慨深い思いを抱きました。
なぜなら、広大な世界での冒険は、ゲームキューブ以降の3Dゼルダにとって、ずっと悲願だったことを知っていたからです。
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Simulations allow players to explore not just a space but a “possibility space.”
(シミュレーションによって、プレイヤーはただの空間ではなく「可能性空間」を探検できるんだ)
とても良い言葉です。物語体験を重視し、自分のゲームを「ビデオゲームじゃなくて、インタラクティブシミュレーションだ」と話すスペクター氏はある意味で、任天堂とは対極の派閥にいるゲームデザイナーです。
過去のゼルダを含め、ウェルメイドであるがゆえに「制作者の用意した正解を当てるパズル」のような任天堂のゲームは、氏の求めるゲームの理想の真逆かもしれません。
そしてご存知のとおり、氏の派閥は商業的にはなかなか困難な道を歩んでいます。スクリプト駆動型のゲームの強さたるや! ――『時のオカリナ』以降のゼルダの歴史も、その例外ではありませんでした。
しかし、今作ではそういう位置にいた任天堂が急旋回して、いきなり「没入型の環境シミュレーション」の山頂に手をかけたのです。
氏の名言を借りるなら、今回のゼルダはだだっ広いだけの空間ではなく、広大な「可能性空間」をプレイヤーに提示したのです。
ゼルダ、すごい。任天堂、すごい。
欧米のオープンワールドゲーム制作者にとっても、この「可能性空間」の生み出す豊かな密度感は衝撃的でしょう。間違いなく水準は引き上げられました。
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PS4世代になり、今や日本の大手ゲーム会社はどこも自社の看板タイトルのオープンワールド対応を進めています。
そうしたオープンワールドゲームの中でも、『ゼルダ BotW』は明らかに高い完成度に仕上がっています。オープンワールドゲームに慣れたゲーマーほど、そう感じるでしょう。
しかし、大切なのはオープンワールドは到達点ではないということです。「没入型環境シミュレーション」ゲームが真に完成するに至れば、
「オープンワールドはそこに至る通過点に過ぎなかった」――そう記憶される日が来るのかもしれません。
http://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/zelda-okamoto