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 甥っ子の兄弟(小4と小3)というか弟の方が、「子供だから」というレベルではないくらいに身勝手というか欲望のコントロールができていなくて心配になってしまう。
去年のゴールデンウィークに会ったときよりこの前の年末の方がひどくなっていて、姉(母親)も悩んでるっぽいし。

自分の願望を実現しようとする時に、他人を気持ちよくする(他人にとってのメリットを勘案する)ことで実現しようとする方法と、他人を虐げる
(他人にとってのデメリットを突きつける)ことで実現しようとする方法があるとすると、兄の方は前者で、弟の方は後者の戦略を採用しているように見える。
後者の方法は、たとえば「○○してくれないと泣き止まない、うるさくする」とか、「○○してくれないといじわるする」とか、あるいは明らかにフェアでない
自分だけが有利な選択肢を提示するとか。

 後者のやり方だと、当然その利害関係者は反発することになる。そんなのはずるいじゃないか、相手の迷惑も考えようよ、となってしまって
その願望が実現されない。「お前が悪い」と言われてしまう。それで怒ってますます強硬に要求するし、でも実現しないしで悪循環になっていく。

 特にゲームがひどくて、「あと10分で終わり」とか「このプレイが終わったら終わり」とか約束しても、それを守らなくて逆ギレしてしまう。
それで母親に無理やり剥がされると30分とか1時間とか本当に大声で泣いたりしている。以前それで児童虐待の疑いで近所の人から
通報されて家に保護の人が来たこともあって姉も参っている。

 ゲームをしている間、甥っ子の弟は「クズ」とか「バカ」とかずっと言ってる。僕や兄が何かキャラを選んだりすると「は? そいつマジでカスいし」
とけなしたりする。一方で自分がプレイしている時は「こいつマジ神やし」と言っている。Youtubeとかのゲームプレイ動画もよく見ているみたいなので
そういう影響もあるのかもしれないけど、他者を貶めながら相対的に自分を肯定している。

 姉が紅白見たいからテレビでSwitchやるのやめてと言うと怒って抵抗するし、その後テレビから外して本体だけでSwitchをやっていて音がうるさいから小さくしようとすると
抵抗するし、でも「2階でやったら? そしたら音も小さくしなくてもいいし、テレビでもやれるし」と言っても頑なにみんなのいるリビングからは出ていかないし、紅白を見ている間も
「こいつマジ神やし」と大きなひとり言を言っている。ゲームをしていると画面を見てもらいたがってくる。

自分がやってる遊びを親に見てほしい、親にもすごい、面白いと言って認めてほしいという感覚は、自分が子供の頃にもあったことを
はっきり覚えているのでよくわかる。ただ子供だった頃の自分や甥っ子の兄の場合は、親が関心を示してくれなければあきらめたり、
親の関心の側に合わせたりしている。甥っ子の弟の場合はあきらめずにずっと続く。

 テレビゲームって、細かく課題が設定されて、それを達成すればランクやレベルが上がるとかポイントが貯まるとかアイテムがもらえるとか
きちんと褒めてくれる。課題の難しさもちょっとずつ上がっていって、強いアイテムが手に入ったり自分の操作が上達したりして前は
できなかったことができるようになる。ちゃんと褒めてくれるし、達成感があるし、怒られたりもしない。自尊心を満たしてくれるシステムになっている。

 身近な存在(兄)と比べて相対的に自尊心の確立が難しい状況に置かれた中で、甥っ子の弟がそれをテレビゲームに求めるというのはよくわかる気もする。

年末にSwitchのARMSを甥っ子の兄弟と3人でやって、格闘ゲームを3人でやればどうしてもどこかのタイミングで2人が1人を攻撃する場面が出てくる。そうすると弟の方は
「はあーっ? 僕ばっかりやんか!」とただちに大声で怒り出す。実際には「僕ばっかり」ということはないけど、本人にはそう見えてしまうのかもしれない。(単純に2人から
攻撃されると全く身動きとれなくなるのでフラストレーションが溜まるという気持ちはわかるけど、それは甥っ子の兄にしても僕にしても同じことなのだ。)

 「自分ばかりが攻撃されている」「自分だけが認められていない」という感覚が実生活上でもずっと張り付いているから、こういう場面でも
吹き出してしまうのかもしれない。
まして認めてもらえるエリアがゲームしかなかったのに、そのゲームの中で否定されるのはかなり耐えがたいものがあるのかもしれない。