0001名無しさん必死だな
2018/02/08(木) 23:39:39.45ID:hXAvAnoHM兵庫県の西端、坂越湾を望む風光明媚(めいび)な赤穂市の海辺に、世界最大級の“ゴキブリ研究所”があるという。
日本を代表する日用品メーカーの一つ「アース製薬」(本社・東京)の赤穂工場だ。しかも研究リーダーは、有吉立さんという女性らしい。
好奇心の塊となって、恐る恐る足を踏み入れた。(木村信行)
−いきなり自分の体験ですみません。幼き日、家の中を滑空する茶色い物体がいました。アブラゼミと思って手づかみしたら…。
あの恐怖を今も忘れません。
「その気持ち、よく分かります。私もゴキブリと聞いただけで瞬時に思考が停止し、悲鳴を上げるだけの女性でした。実は、今でも好きではありません」
−意外です…。研究所にはどんな昆虫がいるのですか。
「ゴキブリ100万匹、ダニ1億匹、蚊とハエで計10万匹、アリ5千匹…。
日本を代表する害虫たちのほか、観賞用のマダガスカルオオゴキブリ(体長約7センチ)など約100種類います。私は飼育全般が担当です」
−どんな仕事ですか。
「同じ研究所にある開発・実験担当から『殺虫成分の効果を確認したい。来週中に幼齢期のゴキブリ200匹がほしい。すべてメスで』『生後5〜10日のアカイエカ2千匹を』などと注文が入ります。
虫を成長段階ごとに管理し、適時適切に応じられるかが腕の見せどころ。
害虫は生命力が強いと思われがちですが、繁殖は難しい。メスの注文が多いのは生命力が強いからです」
−で、なぜ研究員に。
「出身は地元赤穂。東京の美術系専門学校を卒業後、職を転々としました。赤穂に憧れの仕事はなく、新聞で『研究に使う虫の飼育』という求人広告を見つけました。
地元の大企業、しかも正社員です。条件に引かれたのです。応募40人中、採用は私だけでした」
−とはいえ、相手はゴキブリです。
「最初の担当はハエでした。ハエの子どもがウジ虫であることすら知りませんでした。スプーンでウジ虫をすくう日々。夢で何度もうなされました」
「2年目、ゴキブリ担当になりました。最初の仕事は50万匹のワモンゴキブリ(体長約4センチ、日本最大級)を放し飼いにしている6畳間の掃除です。
ほうきでフンを集め、水とエサを交換し、窓ガラスをふいて…。部屋に入るとガサガサッと音がして一斉に逃げ出す。
そうか、ゴキブリたちは人間が怖いんだ、と気づいて、少しだけ強くなれました」
−生態は。
「足が速い。人間の身長に換算したスピードは時速300キロ。新幹線並みです。
3億年前から今の姿で生存し、殺虫成分に強い『抵抗性』の個体もいる。強敵です」
−いつから人類の敵に。
「実はそれほど古くありません。食べ物のある温かい所を好むので、昔は金持ちの家にしかいない縁起のいい昆虫とされた地域もあったそう。
おぞましい敵になったのは、どんな家庭にも出没し始めた高度成長期以降です」
「サルモネラ菌などの病原菌を運ぶ不衛生な虫ですが、ハチや蚊、ダニのように人を刺したり、死に至らしめたりはしない。
害虫度ランキングはそれほど高くはないのです。ただ、あの見た目。黒くて速くて大きくて…。
これは私見ですが、家庭のお母さんを敵に回したのが大きい。私も『とにかく大嫌い』というイメージを植え付けられて育ちました」
−好きにはなれませんか。
「ええ。努力しても無理です。ですが観察し、生態を知ることで『偏見』はなくなりました。顔はよく見るとかわいいし…」
−研究所の役割は。
「セアカゴケグモなど特定外来生物の飼育も挑戦中。ヒット商品『ごきぶりホイホイ』は世界37カ国に輸出しています。
生活衛生の向上に取り組む国々は多い。人類の敵と向き合うため、研究も日々進化が必要なのです」
2/4(日) 13:00配信
神戸新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180204-00000009-kobenext-bus_all