0001名無しさん必死だな
2018/06/06(水) 22:35:32.48ID:wKOhOEWe0鳥嶋氏:
僕が逃したゲームは二つあるんです。
一つは『ポケットモンスター』ね。でも、これは正直に告白するけど、僕が自分の目で見て何一つ良さがわからなかったから仕方ない。
もう一つは『伝説のオウガバトル』なんです。
――松野泰己さん(※)ですか。
※松野泰己
1965年生まれのゲームクリエイター。1989年にクエストへ入社後、「オウガバトル」シリーズを製作。『タクティクスオウガ』を完成させるとクエストを退社。
当時のスクウェアに移籍してからは『ファイナルファンタジータクティクス』や『ベイグラントストーリー』を手がけた。
鳥嶋氏:
そう。ゲームショウで見たときに、ビジュアルもゲームコンセプトも素晴らしいと思った。ただ、そのときについ「確かに良いゲームだけど、これはジャンプのターゲット層じゃないな」と判断してしまったんだね。
でも、実際にゲームが発売されてすぐに、「ああ、なぜ会いに行かなかったのか」と本当に後悔した。
確かにあのゲームは年長者向けだよ、でもこの松野という男は決してこのゲームだけで終わるようなやつじゃない。絶対に他のゲームを作れる男だった、と気づいたんだね。
――それはどういう部分で感じたのですか?
鳥嶋氏:
まず、あの世界観の“暗さ”ね。ゲームの中に「悪」という概念をここまでリアルに入れて、しかも松野はプレイの仕方でどんどんストーリーが変化していくようにしたわけだよ。
あのとき、僕も初めてRPGの「強くなるために人を切っていく」という発想の「業」を真剣に考えさせられたし、それが作品全体のテーマになっていくのはあまりに深いじゃない。
それからは、用賀にあったクエスト社に月1回お茶を飲みに行って、「松野に会わせてくれないか」と言い続けていたの。
でも、絶対にクエストの社長が会わせてくれないんだよ。
佐藤氏:
徳川さん!
鳥嶋氏:
そうそう、徳川家の末裔の人らしいんだけどね。でも、そうしたらある日、坂口が「松野泰己をスクウェアに迎えようと思ってる」と言い出して、「ええええ」となってね(笑)。
僕はめちゃくちゃ怒ったんですよ、「おまえ、最低だな」と。
――なぜですか?
鳥嶋氏:
だって、坂口と同じ方向で、かつ彼を超える可能性のある唯一の天才が松野泰己だったんだから。
それを自分の中に取り込もうというのは実に最低だと。「お前を軽蔑する」と言った記憶もあるな(笑)。
※ちなみに。松野氏のスクウェアへの移籍については、「引き抜きみたいな話はなかった」と松野氏本人が後日に語っている。
佐藤氏:
まあ、あの時点ですでに松野さんはブランドになっていたものね。
――歴史の「もし」ですが、あのとき松野泰己さんがクエストに居続けて、鳥嶋さんと『ドラクエ』や『FF』のような形で組めていたら、日本のゲーム業界の歴史は大きく変わったかもしれないですね。
日本におけるシミュレーションゲームの地位も、全く違うものになったかもしれない……。
鳥嶋氏:
ね? 僕の悔しさが分かるでしょう。エニックスとスクウェアに並ぶ第三極も立つわけで、業界が物凄く盛り上がったはずだしね。
……ただ、残念ながらクエストという会社にそこまでの経営基盤がなかったのも事実じゃないかな。もう一回りあの会社が大きければ、色々なものが変わったと思うのだけどね。
http://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/torishima/3