クラベレビュー
ストーリーには辛辣

https://jp.ign.com/project-octopath-traveler/27275/review/jrpgoctopath-traveler
NPCキャラクターへのインタラクションに革新的なアプローチをとる作品であるのに、パーティーメンバー同士の絡みがほとんどないのは少し皮肉だ。
イベントシーンでは進めている物語の旅人だけが登場し、他のキャラクターは出てこない。
第2章からは物語に発展があるとパーティメンバー同士の会話を発生させられるようになるが、おまけ程度のものであり、
パーティメンバー同士の本格的なドラマは存在しないと言ってよい。これだけ個性的なキャラクターが集まっているだけにもったいないとは思うが、
いつどこで誰を仲間にするかという自由度がもたらした副作用と言うほかならない。

この8人が一緒に冒険している理由もさして見当たらない。
話しかけると仲間になるだけで、出会いの描写は割愛されている。
ストーリーのことだけで考えると、一人ひとりのキャラクターが自分で旅をする設定でもよかったように思えるが、それでは本作のようなRPGに落とし込みづらいだろう。
一緒に冒険している違和感は「ゲームのため」と諦めて気にしないように努めた(さすがに盗賊が仲間になったときは設定の違和感が強かったが…)。

しかし、目指した路線を認めつつ、『OCTOPATH TRAVELER』をよくできた群像劇と評価するのは難しい。
優しそうなキャラクターに後で裏切られ、序盤で裏切られるキャラクターが実はいいやつだったといった古典的な展開も多いし、
牢屋に入れられると助っ人がやってくるといったご都合主義も気になった。大目に見ることもできるが、だいたい先の展開が読めてしまい、
その多くが既視感のあるストーリーに感じられた。「世界を救う」というシンプルなストーリーラインではないからこそ、もっと深いところをついた人間ドラマに期待したかった。
単純な裏切りよりは価値観の違いによる衝突に期待したかったし、裏切るのであればその「動機」にもっと大人を納得させる理由と説得力がほしかった。
要するに、筆者はもっとリアルな人間ドラマを求めていたが、8人分のストーリーを作るとなると、それぞれのストーリーはどうしてもシンプルな構造になりがちなのだろう。