https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1047403.html

堂田氏は、物理について解説を行なった。ゲームにおける物理は、ゲームにとって都合の良い物理で、ファミコン時代から様々なゲームで“ゲーム物理”が生み出されてきた。
堂田氏によればこのゲーム物理とは嘘物理であり、なぜわざわざ物理法則を導入するのに嘘をつくのかというと、それは操作性やレスポンス、ゲームデザイン上の要求を満たすため、あるいはゲームの処理を軽くしたり、リアリズムの追求のためだという。
逆に、嘘までついて物理法則が必要なのかというと、ユーザーは現実世界の現象を介してゲームシステムを信頼するため、その信頼関係を結ぶためになくてはならないものだからだという。その上で巧妙に嘘をつく。
それは「ゼルダ」シリーズも例外ではない。堂田氏の解説は、名講師の授業のようで非常に明快で分かりやすい。

そして本題である「ブレス オブ ザ ワイルド」では、オープンワールドを採用しているため、スケールの大きなゲーム物理を作りたいと考えていたという。
しかし、その一方でネックとなったのは自由度の高さ。
堂田氏はその自由度の高さについて「スタート地点の岩をラスボスまで持ち運べるような自由度」と説明し、場内の笑いを誘っていたが、これを実現することは可能だが、実現するためには無限のシチュエーションに対応する必要があり、あまり楽しくない反面、投入されるリソースは莫大となり、あまり現実的ではなく、これでは作り手が息切れしてしまう。

堂田氏が導入したいゲーム物理は「楽しい物理」。
そこで、物理法則については、その一切合切を、物理エンジンとして定評のあるHavokに委ねることを決定する。
Havokを導入することで一定の安定性、堅牢性を確保できるため、その上で巧妙な嘘をつくことを考えたという。