福原 よく業界内から「ソーシャルゲームはサービスが終了したら何も残らない。パッケージはいい」という意見が出るのを見ることがありますが、「決してそんなことはない」と声を大にして言いたいです。
いま最前線で必死に働いている者や、それを楽しんでくださっているユーザーさんに冷や水を浴びせるようなことを言わないでくれ、と。

そもそもパッケージとして手元に物が残るからそれが一生遊べるのかと言えばそうではないでしょう。
一世代前のゲーム機のソフトですら現行機で遊べない作品がほとんどです。たしかにソーシャルゲームは、家庭用ゲームと違ってサービスが終了したら、
少なくとも同じようにプレイすることはできなくなりますが、そのときまでに体験した楽しさや、泣いた笑ったという感情、友達と熱くなってプレイしたなどの思い出は絶対に残りますし、それは家庭用ゲームでも同じです。

限られた名作だけがリマスターであったりデジタル配信されて現代でも遊べるようになりますが、それ以外はたいてい思い出として、人それぞれの形で記憶の中にとどまっているのがほとんどのはずです。
でもそれは美しいことだと思います。

――サービスが終了したゲームでも、かつてのファンがSNS上や関連イベントで集って、いまだにコミュニケーションを取っているというのもよく聞く話です。

福原 だから、すべてが無になるなんてことはないんですよ。サービス終了は悲しい出来事ですし、その字面だけ取沙汰されてネガティブな面が押し出されますが、それがあるからこそ、
そういったタイミングで一度でも遊んでくださったプレイヤーの方が思い出や惜別のコメントをSNSでつぶやいたり、公式アカウントに届けてくれたりするのは作り手としては救いのある仕組みだと思います。
これが逆に家庭用ゲームだと、売れずにそのまま忘れ去られていくという構造になっているため、想像するだけで恐ろしいことです。

けっきょく、家庭用ゲームでもソーシャルゲームでも同じゲームなわけですから、根本にあるもの、残るものは同じなんですよね。
モバイルと家庭用ゲーム、両方の開発、運営に携わることで、よりその思いは強くなりました。この気持ちを忘れないようにして、これからも開発、運営を続けていければと思っています。
https://s.famitsu.com/news/201812/15169322.html