https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190530-00036447-biz_plus-bus_all&;p=1
●欧米のヒーローは「大人」、日本のヒーローは「子供」  

しかし、もっと根本的な疑問がある。アメリカと日本との間にある、あまりにも大きな興行成績や熱狂度の差だ。
いくらアメリカの原作で知名度の差があるとは言え、日米で温度差がありすぎはしないか。

「まず大前提として、海外、特にアメリカにおける“ヒーローもの”というのは現実社会のアナロジー(類推)です。
その時代の社会で起きていることを反映した、ひとつの神話化のプロセスが、アメコミヒーローの物語であると。
当然、ギリシャ神話やシェイクスピアの影響も受けている。神話上の英雄(ヒーロー)なので、
ほとんどの作品において、その主人公は成熟した“大人”です。
ところが、日本において“悪をやっつける”ヒーローものの主人公は、多くが少年です。
『機動戦士ガンダム』『ドラゴンボール』『名探偵コナン』『新世紀エヴァンゲリオン』、
すべてそうですよね。日本以外の海外では、“少年や少女がヒーロー”というのはかなり異例なのです。
でも、日本人はそれにずっと慣れてきました」(宇野氏)  

日本人は「未熟な少年性」に価値を見出す。言われてみれば、たしかにそうだ。
「欧米の若者は『早く大人になりたい』と思っていますが、日本の若者は『いつまでも子供でいたい』と思っている。
大人ですら『子供に戻りたい』と口にする。こんなこと欧米の人は絶対に言わないですよ。
だって、子供に戻ったらマリファナも吸えないし、セックスもできない(笑)。このギャップは確実にあります」(宇野氏)

 ヒーローものの主人公は少年であり、そもそもヒーローものとは、イコール子供向けのアニメや特撮である――。それが長らく日本人の常識だったのだ。

「だから日本人は『バットマン』にしろ『アイアンマン』にしろ、『いい大人がヒーローなんて』と見くびってきた。
アメコミヒーロー映画が長らく受け入れられなかった背景のひとつだと思います」(宇野氏)