https://eiga.com/news/20190910/9/
[映画.com ニュース] 世界各国のメディアを騒がせているスパイダーマンのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)離脱問題をめぐり、
米ソニー・ピクチャーズのトップから離脱はほぼ確定とする発言がなされたことで、ファンの間に動揺が走っている。米バラエティが報じている。

 発端は、シリーズ最新作「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」がソニー史上最大のヒット作となったことを受け、
マーベル・スタジオを有する米ウォルト・ディズニーがスパイダーマンの映像化権を握るソニーに対し、
「興行収入の5%を受け取る」という現行の契約を「出資・収益ともに50%ずつ折半する」という大幅な条件アップを伴う内容に更改するよう要求したことだ。
これをソニー側が拒否したため交渉は決裂。両社間の対立が一気に深まったことで、今後のスパイダーマン関連作品はソニーが単独で製作することになると同時に、
トム・ホランド演じるスパイダーマンがMCUからはじき出されるという結果につながってしまった。

 このほど、バラエティが主催する業界向けイベント「エンタテインメント&テクノロジー・サミット」に出席したソニーのアンソニー・ビンシクエラ会長兼CEOは、「扉は閉ざされた」と交渉の余地がもはやないことを認めたうえで、
「でもこの先まだまだ長いからね」と将来的にスパイダーマンがMCUに戻ってくる可能性もあることを匂わせる、謎めいた発言で場内をどよめかせた。

この一件に関して、「ソニーとディズニー/マーベルの間に敵意やわだかまりは一切ない」と強調した同氏は、交渉が決裂したのは単純に、
「ケビン・ファイギが次なるフェーズに向け、新たなキャラクターを多数MCUに取り込むので手一杯だから」と説明。
「ファイギが参加した『スパイダーマン』映画2本が大きな成功を収めたこともあり、我々としても協力体制を継続していくための道を見出す努力はしました。
マーベル・スタジオのスタッフ陣はみな素晴らしいとは言え、我々ソニーにも優秀な人材はたくさんいるし、ケビンひとりの手柄ではありません」と誇らしげに語った。

ビンシクエラ氏いわく、ソニーは今後、スパイダーマン以下、権利を所有する関連キャラクターをフルに活用して、独自のユニバースを新たに作り上げていく計画だという。
現に、アンディ・サーキスがメガホンをとる大ヒット映画の続編「ヴェノム2(仮題)」(2020年10月2日全米公開予定)、
マーベルコミック「アメイジング・スパイダーマン」に登場した人気悪役の孤独な戦いをジャレッド・レト主演で描く「モービウス(原題)」の映画2作品に加えて、
スパイダーマンの世界を舞台にした5〜6本のテレビシリーズを準備中だという。

 興行面、批評面ともに大成功を収めた「スパイダーマン スパイダーバース」や、配信開始早々から高い支持を集めている、
ソニー・ピクチャーズ・テレビジョン&アマゾン・スタジオ共同制作による新ドラマ「ザ・ボーイズ」を例に挙げ、
スパイダーマンがMCUを離れても「何ら問題はない」と楽観視するビンシクエラ氏は、「スパイダーマンはMCUに参戦する以前から十分人気があったし、
MCU入りしたことでより人気が高まったとは言え、もともとは我が社のもの。
さらに今後は、独自のユニバースで新たなキャラクターたちと競演することになるという楽しみも待っている。安心して私たちに任せてください」と自信満々に宣言した。