宮本:
タッチポイント毎に個別の IP 展開戦略を決めるという様なことはしてきていません。

例えば、IPの映像展開ですが、私はもともと任天堂 IP の映像展開には否定的でしたが、現在当社 IP を活用し た映像制作に自ら関与している背景には、任天堂が「バーチャルコンソール」(過去に発売されたハ ードに対応したソフトを、その後に発売された別のハードにダウンロードしてお楽しみいただける サービス)のゲームタイトルを何度もつくったということがあります。
私たちの資産はソフトです が、その資産を 30 年経った今もまだ活用できています。ただ、残念なことに、(それぞれのソフト が対応している)元のハードが無くなると、新しいハードにそのソフトを移植しなければなりませ ん。
そういった旧ソフトの新ハードへの移植を何度も経験するうちに、⻑く愛されるゲームソフト の資産に加えて、映像という資産を持ち、共に⻑期的に利用していければ、コンテンツビジネスと して更に成⻑させることができると考えるようになりました。

つまり、「マリオの映画をつくりたい」ということではなくて、「映像という分野でもっと任天堂 はコンテンツを持つべきではないか」という考え方に私は変わりました。映像なら、当社 IP に触れてもらえる人の幅が広がり、今後ますます任天堂 IP に接する方の数は増えていきます。そしてます ます映像を提供するメディアは広がっています。
その時に一番大切なのは、当社が権利をきっちり と持つことだと考えており、さまざまな映像をつくっていく中で私たちの権利を明確にするという 点は、戦略上でも重要視しています。
また、映像は他社様との協業の中でつくるもので、会社を無 理に大きくする必要はありませんので、積極的に投資をしても良いのではないかと考えています。

https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2020/200202.pdf