山本正美氏
SIE JAPANスタジオを卒業したクリエイターの今後の動向。11名の新天地での活動を追う
これまでの代表作
 (株)アスキーを経て1996年SME入社。『立体忍者活劇 天誅』シリーズをプロデュース後、2000年SCE(現SIE)に入社。クリエイターオーディション「ゲームやろうぜ!2006」、「PlayStation CAMP!」を主宰し、全国から募ったクリエイターと『勇者のくせになまいきだ。』シリーズや『TOKYO JUNGLE』、『100万トンのバラバラ』、『rain』など、エグゼクティブプロデューサーとして数々のユニークなタイトルのプロデュースを手掛ける。2010年に外部制作部長に就任。『みんなのGOLF6』、『ソウル・サクリファイス』、『フリーダムウォーズ』、『俺の屍を越えてゆけ2』、『Bloodborne』他、多数のヒット作に関わる。

新たな所属
 SME/SIEと合わせると、25年間もソニーグループでPlayStationのゲームソフト制作をさせていただいてきました。二十歳のころからゲームクリエイターとして仕事をし始め、運よくパブリッシャーでのゲーム制作を続けてこられたのは、僕たちが作ったゲームをたくさんの方々が楽しんでくれてきた結果だと思っています。

 というわけで、大きな組織でのゲーム制作は十分経験させてもらいましたので、その知見を活かし、自分自身のセンスを限界までピュアに吐き出せる場所を作りたいと考え、2021年3月に株式会社エピグラズムを設立しました。ふと、これからはPlayStationに限らず、モバイル/Switch/PCなど、プラットフォームに縛られない制作活動ができるんだなあ……と改めて考えると、すごくいい方はヘンですが、なんか股間がスースーする思いです。よろしくお願い致します!)

今後に向けての意気込み
 日々変化し続けるゲームシーンにおいて、日本という市場の特殊さもまた、より先鋭化してきていると思います。そんな中、欧米マーケットがゲームビジネスの主戦場となることは、ビジネス規模という意味では必然であり、ファクトリー型の制作手法から次々とビッグタイトルが産み落とされている現状は、技術進化という点からも本当に素晴らしいことだと思います。

 一方で、ビデオゲームが根源的に持っている可能性もまた、あらゆる側面で広がっている時代でもあると思います。数人で作ったゲームが100万本を優に超えるヒット作となるようなことが頻繁に起こっている事実は、メジャースタジオの制作フィロソフィーだけが正解ではない、ということの一つの証明でもあると思います。そんな状況下、グローバルマーケットにストレートに挑めるゲームという分野で、日本人クリエイターとして何を芯に据えるべきなのか。長年経験してきましたが、欧米カルチャーに対して浸透圧の高いコンテンツを生み出すことは、日本人にとってそう簡単なことではありません。



 だからこそ、日本人が、日本人に向けてしっかりと届くコンテンツを意識的に作ることが、一周回って今、何よりも大事なのではないかと感じています。ドラマでは「半沢直樹」が、アニメでは「鬼滅の刃」が、そしてゲームでは「桃太郎電鉄」が、日本に熱狂をもたらしています。自分という存在の基本に立ち返った、価値ある面白い提案をしていきたいと思いますので、どうぞ応援よろしくお願い致します!