ソニー、市場が気をもむ2つの半導体リスク
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC29DJQ0Z20C21A7000000/

ソニーグループが2つの半導体リスクに直面している。半導体不足によるゲーム機「プレイステーション(PS)5」の減速と、
スマートフォン向け画像センサーの足踏み懸念だ。株価は2月の年初来高値を約1割下回る。4日の2021年4〜6月期決算発表で
懸念を払拭できるかが焦点だ。

「PS5は週に1度入荷されればいい方。せっかくの販売機会を逃している」。東京都内のある家電量販店の店員はあきらめ顔だ。
記者が都内の量販10店に聞き取ったところ、7月29日時点で全店舗で品切れだった。入荷されても抽選などの販売制限を設ける店舗が多い。

要因は世界的な半導体不足だ。ソニーもPS5の生産量を高められず、店頭に十分に商品を供給できずにいる。

PS5は20年11月に発売。21年7月中旬までに実売ベースで1000万台を販売した。3月までの出荷台数は780万台。
実売ベースと出荷ベースは一致しないが、流通在庫がほとんどないことを勘案して7月中旬までの実売台数から3月までの
出荷台数を引くと220万台。4〜7月の実売台数は1〜3月(330万台)を下回った可能性がある。

ソニー幹部は「今期1480万台の販売目標に向けて順調に進んでいる」というが、市場では上積みできたはずの販売の
機会損失が危惧されている。ソニーは今期にゲーム事業で全体の3割に当たる3250億円の営業利益を計画している。

PS5の品切れが続くことで「購入を諦めたコアなユーザーがゲーム用の高性能パソコンにシフトしている」(エース経済研
究所の安田秀樹氏)との指摘も聞かれる。PS5はPS4よりもゲーム内での課金が多く利益率が高い。コアユーザーの取り
こぼしは、長期的な成長の重荷となりかねない。

ソニーの株価はエンターテインメント部門の収益と連動する傾向が強く、とりわけゲーム事業の注目度が高い。
「(ネットワークサービスの)プレイステーションネットワークの月間アクティブユーザーが直近四半期から減っていな
いかどうか確認したい」(東海東京調査センターの石野雅彦氏)との声もある。ゲーム事業の成長戦略に影が差していないかが焦点だ。