この現象は,個人的には不可解である。通常であれば,PS5を初期に買う人々はゲームをたくさん買う層であり,
また喜んで遊ぶと想定されるからだ。特にPS5はこの期間に1000万台近い売上台数を実現している。そして以前,
ジム・ライアン氏自身が示した通り,ゲームの購入はPS4よりPS5のほうが少ないという問題がある。

 この問題を説明できる考えが必要だが,エース経済研究所では,空き容量が問題ではないかと仮説を立てており,要点は主に二つである。

(1)据え置きゲーム機は,高性能化を追求した結果,メディアは単なる起動ディスク化しインストール必須となっているため,
空き容量の影響を受けるようになったこと
(2)ゲーム機全体が一般化し,よりライトユーザーが初期から手に入れるようになったことで,購入頻度が低い層が増えた

 特に(1)は非常に深刻な問題と捉えていて,PS5/Xbox Series Xは,前世代機から互換性を持たせた結果,
より高速な体験ができる現行機に過去のユーザー資産が持ち込まれ,ストレージ容量を圧迫している。ユーザーは,
新規の大作ソフトで空き容量が圧迫されること,もしくは既存のタイトルをストレージから削減することをコスト
(心理的抵抗:スペースコストと暫定的に命名)と認識していて,このコストを上回る価値が新規タイトルにないと
ゲーム購買を躊躇うようである。