ただし、問題なのはこの時の消費電力量です。5.2GHzという大幅なオーバークロックであることもあり、最大消費電力量(TDP)は驚異の330W。定格のTDPである125Wを大きく上回っており、発熱もかなりのものになっていると思われます。

Ryzen 9 5950xのTDPは65Wなので、消費電力対性能という点ではかなり劣っています。インテルはこのように、消費電力量を無理やり上げることで性能を高くすることがありますが、これはi9-12900kが採用する10nmプロセスの限界のようにも思われます。

また、これだけ大きな消費電力にも関わらず、マルチ性能ではRyzen 9 5950xに対してたった2%のリードというのは、やや苦しいようにも感じてしまいます。AMDも次世代CPUを開発中と噂されていますが、その性能は軽くAlder Lakeを超えてきそうです。

参考までに、CPU情報サイト『CPU-Monkey』によれば、Appleの独自プロセッサM1のTDPはたった15W〜10W。消費電力量の多さはインテル製CPUの大きな課題となっており、i9-12900kでも解決されていないようです。

インテルのゲルシンガーCEOは以前、Alder Lakeの登場により、「AMDのリードは終わる」と発言していましたが、その実情はかなり厳しいようです。また「AppleのMacシリーズに、再びインテル製CPUを採用させたい」とも話していましたが、消費電力量を挙げて性能を上げるのは、消費電力対性能を重視するAppleとは真逆の方向性です。

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