「新工場の人員確保は大丈夫なのか」。11月後半、TSMCからソニーGなど関係各所に心配の連絡が入ったという。2022年にソニーGのイメージセンサー工場近くで着工し、24年末までの生産開始を目指す。準備期間は長いようで短い。

 ソニーGの台所事情も厳しい。「ソニーは自社の熊本工場だけでなく、新棟を建てたばかりの長崎工場も人手不足で困っている。他人を助ける余裕はないだろう」(関係者)と人員確保のめどはまだ立っていないようだ。

 「本当に人を採用できない」と九州地方に拠点を持つ半導体関連企業幹部は嘆く。人手不足は今後さらに深刻化する恐れがある。

 NAND型フラッシュメモリー世界大手のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)が三重県四日市市と岩手県北上市でそれぞれ新棟建設を進めているほか、米マイクロン・テクノロジーも広島県にDRAMの新工場をつくる見込み。各社の計画は今後2―3年内と時期が重なる。

 「工場を建てるだけで終わりではない。(TSMCを誘致した)政府は人手不足対策を考えているのか」(半導体関連企業首脳)と疑問視する向きも出始めた。民間企業の自助努力だけでは解決が難しい。育成を含め、国の積極的な関与を求める声が増えそうだ。

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