■ PS5はようやく流通正常化へ、ただし発想は「コンソール起点」から「コンテンツ起点」へ

ソニーのエンタメ事業における最大の軸は「ゲーム」だ。PlayStation 5は生産と流通の限界によって強いモメンタムを作りづらい時期が長かった。

しかしようやく生産も増え、手に入りやすくなってきたように思う。ゲーム事業の今後はどう見ているのだろうか?

吉田:PlayStation 5は、先日発表したように、3,000万台に到達しました。ただ残念ながら、PS4に比べると少し遅れています。とはいうものの、春ぐらいには、PS4の時のペースにキャッチアップしてくれるのではないかと、個人的には思っています。

吉田:ご存じのように、新しいコンソールが出てから、それに対応したゲームソフトが揃うまでには少し時差がありますよね。今回はそのタイミングに(生産量の向上が)マッチしてきているとも感じます。

ゲームビジネスを考えたとき、コンソールは、スマートフォンに比べると、いまやニッチなビジネスかもしれません。

しかし、やはりコアなゲーマーの方々を顧客として抱えていることは、非常に大事にしたいことなのです。

「一般ウケ」は瞬間のパワーこそありますが、やはりすぐに飽きられてしまう。わっと来た方々は、わっといなくなる可能性がある。

ですから我々は、ニッチかもしれませんが、コアゲーマーを我々のエンターテインメント事業の中核として、大事にしていかなければならない。我々のエンターテイメント事業からすると、やはり最大のセグメントであるのは変わりませんし、そこでPlayStationが軸になるのは変わらないと思います。

「ただ大きく変わった点も」と吉田CEOはいう。それがPCとの関係だ。

吉田:今までは「コンソールありきでコンソールのためのソフトを」ということ「だけ」を大切にしてきました。

ただ、この感覚は少し変わり始めたかなと思っています。

例えばBungieは買収しましたが、PlayStationエクスクルーシブにするかというと、全くそのつもりはない。PCにも、Xboxにも出します。

コアゲーマー向けのゲームがあったら、コアゲーマーはPC市場にもいる。やはりそこに広げていくというのはナチュラルな動きになってきています。

今までであれば、PC版を出すことに相当のためらいがあったと思いますが、今は割と自然に、「ある時間が経過したらPCにも出していく」形で、PCのマーケットも最初から視野に入れるような考え方になっています。

要は、「コンソール起点」の考え方から「コンテンツ起点」の考え方がかなり増えてきたと思います。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3a924525263ee17310f13d33cd7133579cc01e53
ソニーグループの吉田憲一郎・代表執行役会長兼社長CEOへの単独インタビュー