全世界で人気を誇るMMORPG『ファイナルファンタジー14』(FF14)に、とある騒動が巻き起こっている。ゲーム内に存在するコスチュームをめぐって、北欧の先住民族である「サーミ」の人々が、権利侵害を訴えているというのだ。

サーミ風のコスチュームが問題に

問題となっているのは、2022年12月に実装された「ファーノーザン・コスチュームセット」という衣装。1,980 円(税込)で購入できる課金アイテムで、繊細かつ鮮やかな伝統模様が施された装備のセットとなっている。

このアイテムに対して、“文化盗用”を訴えているのが、『The Saami Council』(サーミ評議会)という国際組織だ。同団体はスカンジナビア半島北部とその周辺に居住する「サーミ」の伝統文化を保護するために活動している。

「サーミ評議会」によると、「サーミ」の衣装はたんなるファッションではなく、民族のアイデンティティと密接に結びついているとのこと。「ファーノーザン・コスチュームセット」はそんな文化財に対する侵害行為であるとして、スクウェア・エニックスに対してコスチュームの削除を要求したという。

こうした文化盗用をめぐる議論は、日本ではあまり理解が進んでいないこともあり、ネット上では《どう見ても少し似てる程度でしかない》《伝統衣装が権利侵害なら全ての服が権利侵害になる》《「伝統」の権利は誰のもの?ってなったらもうわからんよ》と困惑する声も上がっている。

「アナ雪」でも同じような騒動が

「サーミ」をめぐる文化盗用の問題は、天下のディズニーも直面したことがある。

2013年にアメリカで公開された『アナと雪の女王』は、北欧をモデルとした世界が舞台となっており、キャラクターの姿や音楽などに「サーミ」の影響が見受けられた。しかしその描き方が適切ではないとして、物議を醸したのだ。

そこでウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオは、続編の『アナと雪の女王2』であらためて「ノーサルドラ」という架空の先住民族として、その文化を真っ向から描くことに。専門家の監修を受けるとともに、民族の権利を守るために「サーミ評議会」と契約書を取り交わしたことも報じられている。

「FF14」の伝統衣装問題については、賛否両論の反応も上がっているものの、今やスクウェア・エニックスはグローバルなコンテンツ展開の真っただ中にある企業。こうしたダイバーシティの問題は、避けては通れないだろう。

2019年にも「FF14」では「東方書生・東方女学生衣装セット」という課金アイテムが海外ユーザーに抗議を受けたことがあった。その際には削除に至らなかったが、今回はどのような顛末を迎えるだろうか。

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