FFシリーズの最新作『ファイナルファンタジー16』(FF16)が6月22日に発売されたが、その初動売り上げは前作を下回るペースとなっている。

世間では若い世代の“FF離れ”を指摘する声も多いようだが、その原因は一体どこにあるのだろうか。

◇PSの目玉コンテンツだったFFシリーズ

FFシリーズは、ソニーとの契約によってプレイステーションで独占販売されることが伝統となっている。過去には『ファイナルファンタジーVII リメイク』がプレイステーション4で時限独占販売され、PC版がリリースされたのは1年半以上が経った後だった。

そして最新作となる「FF16」も、半年間という期限付きでプレイステーション5での独占販売となっている。

「スクウェア・エニックスがソニーと契約を結ぶ背景には、プラットフォーム使用料やマーケティング費用の削減など、さまざまな理由が挙げられるだろう。

さらに振り返れば1990年代の次世代ゲーム機戦争で、セガサターンの勢いに負けていたプレイステーションを大躍進させたのは、『ファイナルファンタジー7』の存在。そこから両社は蜜月な関係を築いてきた。

しかし時代は変わり、今ではソニーの縛りによってFFシリーズの成長が妨げられている側面がある」(ゲームライター)

ゲームハードのなかでも性能の高さをウリにしたプレイステーションは、かつてはゲーマーにとっての必需品という扱いだった。しかし現在では、コアなゲーマーはわざわざゲーム機を買わず、ゲーミングPCを選ぶようになった。

その結果として、プレイステーションをホームとするFFシリーズも苦境に陥っているという流れだ。

◇若い世代はスイッチ・PC・スマホの三択

ゲーム業界の流れが変わったことについて、『.hack』などを手掛けたゲーム会社『サイバーコネクトツー』代表取締役社長の松山洋氏は、ツイッター上で警鐘を鳴らしていた。

松山氏によると、ゲーム系の学校で学生に「持っているゲーム機は?」と質問すると、ニンテンドースイッチは90%、PS4は70%で、PS5はわずか10%にとどまるという。ゲームクリエイターを目指す若者ですらこの現状なので、一般層の間ではさらにプレイステーションの所有率が低くなっていそうだ。

さらに松山氏のツイートでは、Steamのゲームを遊んでいる学生が80%に達していることも明かされている。やはり家庭用ゲーム機からPCへの移行は着々と進んでいるのだろう。

若い世代がプレイステーションを触らなくなった以上、“FF離れ”が進んでしまったのも当然。この先、さらに中高年向けの閉じたコンテンツになっていくかもしれない。

袋小路の未来を回避するために、スクウェア・エニックスには今一度コンテンツのあり方について考え直してほしい。

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