米マイクロソフトによる690億ドル(約9兆5700億円)でのアクティビジョン・ブリザードの買収計画はゴールに近づいているものの、期限である18日までには完了しない公算が大きい。

事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、両社は合意を破棄する予定はなく、買収完了に向け引き続き当局の最終承認を目指す方針。この件に関して公に話す権限がないとして匿名を条件に語った。

マイクロソフトとアクティビジョンは共にコメントを控えた。

両社の取り決めによると、18日までに買収が完了しない場合、両社とも合意破棄が可能になり、マイクロソフトはアクティビジョンに違約金30億ドルを支払う義務が生じる。
現在の合意条件のまま進むことも可能だが、アクティビジョンはいつでも取引を破棄することができる。合意条件の修正を目指す場合は金銭面の条件変更につながる可能性がある。

同計画を巡る規制の風向きは両社に有利な方向に変わった。米連邦取引委員会(FTC)が買収計画阻止のため求めていた暫定的な差し止め命令について、サンフランシスコ連邦高裁は14日、FTCの請求を退ける判断を下した。

英競争・市場庁(CMA)は4月、クラウドのゲーム市場に与える影響に対する懸念から買収を認めないと発表。
しかしCMAは先週、当局の懸念に対処するための新たな協議を可能にするため、訴訟の一時停止に同意するといった前例のない行動に出た。

そして買収期限が迫る中、ロンドンの競争控訴裁判所は17日の審理後、CMAによる買収差し止めを一時的に執行停止とすることは可能だと判断した。

ただ、こうした進展の速さは18日の期限までの買収手続き完了を可能とするには十分ではない公算が大きい。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-17/RXYNF8T0AFB401