2023年のゲーム業界でもっとも注目されていた、ベセスダ・ソフトワークスの大作オープンワールド『Starfield』が、9月6日に正式リリースされた。しかしプレイヤーのあいだでは続々とバグが発見されており、「面白いバグを探して楽しむゲーム」と化しているようだ。

奇想天外なバグが頻出!

ベセスダ・ソフトワークスといえば、『The Elder Scrolls』シリーズなどでオープンワールドゲームというジャンルを切り拓いたゲーム会社。「Starfield」は同社が満を持してリリースする完全新規タイトルとあって、発売前から多くの注目が集まっていた。

しかし9月1日から始まったアーリーアクセスの段階で、さまざまなバグが見つかる。プレイヤーからの報告を見てみると、たとえばゲーム内NPC関連のバグが多いようで、突然大跳躍して室内の天井にめり込んだり、コンパニオンが全力ダッシュしたり、おじさんNPCの服が消失したりと、思わず笑ってしまうような挙動を見せることがあるという。

極めつけは、NPCのセリフに“入ってはいけない音声データ”が入っているとの指摘。「時にそう呼ばれることもある。良い意味でも悪い意味でもな」ともっともらしいセリフの後に、唐突に「はい、すいません」という声が挿入されるのだ。

おそらく日本語版の声優が収録時、音響スタッフとやりとりした部分が、カットされずに残されてしまったのだろう。

「海外ではもっと前から先行プレイが始まっていたのですが、その時はプレイヤーから『バグがほとんどない』と報告されており、ネットニュースにもなっていました。ところが蓋を開けてみればこの有様なので、『ベセスダ史上もっともバグが少ないゲーム』というワードがネタにされていますね。とはいえ、“ベセスダのゲームにしてはバグが少ない”という意味と捉えれば、間違っていないとも言えます」(ゲームライター)

ゲームの自由度を増してくれるバグ

他にもユニークなバグが多数発見されており、むしろ積極的にバグを利用して楽しむプレイヤーも少なくない。

牢屋を守っている警備員がいれば、バグを利用して逆に警備員を牢屋の中へ。また海外では、バグを利用して“バケツ”をNPCに被せるゲームが流行っているようだ。

バケツを被せるとそのままゲームが進行し、バケツを被ったままNPCが真面目な言葉を発するので、シュールな場面を楽しむことができる。

とはいえ、ベセスダ製のゲームに関していえば、むしろバグが愛されているような節もある。『The Elder Scrolls V:Skyrim』も『Fallout』シリーズも、ゲーム史に残る偉大な作品だが、これらのオープンワールドゲームが愛されてきたのは、バグの存在が少なからず関係していた。

今回の「Starfield」のバグについても、プレイヤーからは《いつものベセスダゲーだ!》《“バグが少ない”って言われてたから不安だったけど安心した》といった声が上がっており、多くのユーザーがバグを満喫しているようだ。

「以前ベセスダ・ソフトワークスの関係者が、海外メディアのインタビューで、バグの存在について『私たちはカオスを抱きしめている(受け入れている)』といった主旨のコメントを残していました。たしかに進行不能バグなどは別として、ゲームの自由度を高めるようなバグが存在することも事実でしょう」(同)

近年eスポーツ化の流れなどもあり、ゲーム業界では意図的なバグ利用が忌避されるようになりつつある。しかしそれは業界全体でみれば、決して絶対のルールではない。バグとの親和性が高いゲームは、いまだに残っているのだ。

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