甲府市で2021年10月、全焼した住宅から夫婦の刺殺体が見つかった殺人放火事件で、殺人罪などに問われた同市の無職遠藤裕喜被告(21)の裁判員裁判(三上潤裁判長)で、甲府地裁は18日、求刑通り死刑の判決を言い渡した。

起訴状などでは、遠藤被告は21年10月12日午前3時半頃、甲府市の会社員男性(当時55歳)方に侵入し、1階にいた男性と妻(当時50歳)をナタや果物ナイフで殺害。当時14歳の次女も殺害しようとナタでけがを負わせ、ライター用オイルで家に火をつけて全焼させたとしている。次女と当時17歳の長女は2階から飛び降りて逃げた。

 検察側は公判で、遠藤被告は事前に凶器を購入し、逃走経路を確保するなど計画性も認められ、完全責任能力があったと主張。弁護側は、複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神障害を負い、刑の減軽対象となる心神耗弱状態だったとして死刑の回避を求めていた。

 遠藤被告は事件当時19歳。22年4月施行の改正少年法で位置付けられた「特定少年」として、全国で初めて起訴時に氏名が公表された。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20240118-OYT1T50163/