文系の壁 理系の対話で人間社会をとらえ直す
養老孟司
p96〜97

藤井 脳というか、あらゆるシステムは、入力されるデータが多くなると、
   コストが高くなっちゃう。だから、普通の人は、まんべんなくサーッと
   見ているんだけど、たぶん、先生は虫しか見ていない。集中しているんです。

養老 それはすごく感じます。普通の人って、僕のようには集中しないですね。
   たとえば、僕は一時間でも平気で虫の標本をつくっているんです。
   本も読み始めるとずっと読んでいる。たぶん、普通の人は途中でやめると
   思います。よく、「お父さんの取柄は集中力だけ」って子どもに言われます。
   生意気言うなよって思う。(笑)