レイドリーダーの朝は早い。
午前4時。
まだ夜が明けぬ時間帯からジムの奪還をする事から彼の一日は始まる。
『ジムが自分のチームになっているだけでレイドバトルでもらえるボールの量が違うんです。レイドが始まってしまうとジムバトルは出来ませんからね、手遅れになるんです。伝説ゲットの為なら妥協はしませんよ。』
彼はそう言いながら自宅から半径5kmのジムを総点検する為に巡回する。それに使うのは自転車だ。
『本当は走れば一番良いんですけどね。時間的にも体力的にもさすがに厳しくて。車?、もちろん使いません。駐車場から届くジムは別ですがほとんど無いですし、何よりも路駐で迷惑をかけるのは論外です。』
額に汗を流しながら、彼は黙々とジムを自分のチーム色に変えていく。
『別にポケコインが欲しくてやってるんじゃないんですよ。1日で得られる上限もありますし。自分の為でもあるけど、むしろ同色チームの為のボランティアみたいなものですよ。よく誤解されますが。』
彼はそう言いながら笑った。
レイドリーダーの一日はまだ始まったばかりだ。