普通の風邪のコロナウイルスも再感染する

英国の研究グループが1990年に発表した論文[注6]では、
普通の風邪を引き起こすコロナウイルスも、
感染から1年後に再び感染しうることが示されています。
著者らは、コロナウイルスの1つである「HCoV-229E」を
15人のボランティアに感染させ、血液中の抗体の反応を観察しました。
15人のうち、もともと持っていた抗体価(抗体の量や強さ)が低かった10人が感染し、
8人が発症しました。抗体価は、感染から2週間後に最高値となり、
その後低下しました。

1年後に、初回に感染した10人のうち9人と、感染しなかった5人について
再び抗体価を調べたところ、初回に感染した人たちの抗体価は、
感染実験の前に比べてやや高い程度にしか保たれていませんでした
(感染しなかった5人は実験前から1年後までほぼ変化なし)。

さらに、同じウイルスを用いた再感染実験を行った結果、
1年前に感染した9人のうち6人が再び感染しました。
ただし、感染期間は前回より短く、症状が出た人もいませんでした。
一方、初回に感染しなかった5人は、2回目の感染実験で全員が感染しましたが、
症状は軽症でした。

この報告は、普通のコロナウイルスの感染によって獲得する免疫力は
1年程度で弱まり、毎シーズン感染する可能性があること、
しかし、感染しても軽症で済む程度の免疫は維持できることを示しています。
tps://style.nikkei.com/article/DGXMZO63915800W0A910C2000000?channel=DF130120166093&page=2