橋野氏:
 まず,アトラスが持つ長年の課題に,“新規タイトルを作らなければいけない”というものがありました。
 ここ最近,おかげさまでアトラスのゲームは好評をいただいており,「最近アトラスは元気いいね」と言ってもらえることが多いのですが,それでも近年を振り返ってみると「真・女神転生」や「ペルソナ」,それに「世界樹の迷宮」というシリーズ作品がほとんどなんですね。

 2016年の5月ですね。ようやく「ペルソナ5」が完成し,シリーズも20周年を迎えたことで,これからのアトラスを考えるための,ひとつの区切りを迎えたんです。
 そこで,課題の解消につなげられるよう会社と相談し,全社的な取り組みのひとつとして今回のプロジェクトを立ち上げることになりました。
シリーズ作品を継続させること,すでに飛んでいるものを“巡航”させることに加えて,新しいものを“離陸”させるタイミングとして,新しいRPGの開発をスタートさせたいと。

 アトラスをあまりよく知らない方からすれば,“ファンタジー作品を作ることが挑戦”と言われても,ピンとこないかもしれませんね(笑)。
実は“王道のファンタジーへの挑戦”というのも,僕だけが考えていたことではなく,アトラス全体で「いつかやってみたいね」と,もう10年くらい前から話題に出ていたものなんです。
 経営側との話し合いはもちろん,スタッフ同士で「新しいゲームを作るならなにがいい」という会話になるときも「ファンタジーがいいね」という言葉が出ていました。

4Gamer:
 公式サイトに掲載されている橋野さんのメッセージに“テーマは「真なる幻想世界=(ファンタジー)への回帰」”とありましたが,新たなチャレンジが原点回帰にもなったという意味が分かってきた気がします。

橋野氏:
 もちろん最終的にどんな形に着地するかは,まだまだ分からないです。気を付けないと,面白いものになると意気込んだはずが,実は巷に溢れるファンタジーと同じものだった――ということにもなりかねません。

4Gamer:
 それでも挑戦してみようと。

橋野氏:
 はい。これまで先輩達から教わったことや自分達で作ってきて学んだこと,そして,ユーザーのみなさんから教えられたことなどを生かせば,王道でありながらアトラスならではの新しい切り口を持った作品ができると確信しています。
 それが今回の挑戦であり,「なるほど,だったらやってみろ」と,ファンのみなさんに言ってもらえたとしたら嬉しいですね。
https://www.4gamer.net/games/367/G036702/20170123077/