次の10年で“モニターで見るゲーム画面”は終焉する。エンハンス水口哲也氏、CEDEC 2019の基調講演でゲームの未来を語る

「ここから起こる変化は、活版印刷の発明以来、600年ぶりの大革命になる」。「Rez Infinite」や「テトリス・エフェクト」を手掛けたエンハンス代表取締役の水口哲也氏は、CEDEC 2019の基調講演でこう語った。


 水口氏が見据える未来は、あらゆるものが「空間的になって、体験化していく」というものだ。
解像度は8Kを超え、通信速度は高速になり、リアルとバーチャルは融合していく。
それは、モニターという「二次元と四角フレーム」で区切られた世界から離れ、ゲームも含めて事務作業もエンターテイメントも空間で作られ、体験するようになるのではないか。

水口氏が期待するゲームの未来は、8K解像度の先にある。水口氏に言わせれば、よりエモーショナルな体験を目指すのであれば今の解像度はまだまだ足りないが、人間は8K以上の解像度を判別できないと言われていることから、次の15年で解像度そのものは臨界点が来るはず。
そうなれば、開発的な志向はより感情にフォーカスした「質的な深化」にトレンドが移るのではないか。

 そこで水口氏が期待している技術が、AR/MRになる。
現実の空間に作用するAR/MRが様々なテクノロジーと交わりながら生活の中に浸透することで、情報のやり取りそのものが体験になっていく。
「CEDECもこうした対面で行なうのではなく、10年後はグラスをかけて、色々繋がりながら体験するものになるのではないか」とした。

 水口氏が「600年ぶりの大革命」と語るのは、この部分になる。
モニターを見る時代から、空間で情報を“体験”する時代へ。その変化はゆっくりかもしれないが、技術が揃えば指数関数的に飛躍する可能性もある。
そんな時代が訪れた時、ゲームはゲームであり続けるだろうが、ゲームから始まるなにか別のものがあるのではないか。
そこで何が生み出せるのか。水口氏は、「そんな挑戦的な発想があってもいいのではないか」と語った。
https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1205345.html