https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&;n_cid=DSMMAA13&ng=DGXMZO37133370Q8A031C1TJ2000&scode=7974&ba=1
任天堂の主力家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」が勢いを欠いている。
同社が30日に発表した業績自体は堅調だったが、けん引したのは昨年出したゲームソフト。
起爆剤として期待した新作のゲームソフトシリーズは伸び悩み、年末商戦に懸念を残す。
ゲーム機の勢い不足が続けば有力ソフトがそろいにくくなり、さらに魅力を失う悪循環になりかねない。

同社が30日に発表した2018年4〜9月期の連結決算は純利益が前年同期比25%増の645億円、売上高は4%増の3889億円だった。
スイッチ用ソフトの好調は続いたが、引っ張ったのは「マリオカート」や「ゼルダの伝説」など昨年発売したソフト。
4〜9月に100万本以上売ったソフトの合計本数の7割弱は前期発売分が占めた。

それは魅力的な新ソフトが乏しいことを意味する。
17年3月に発売し、2年目を迎えたスイッチの起爆剤と期待した段ボール模型を使ったソフトシリーズ「ニンテンドーラボ」。
段ボールで作ったハンドルを動かし、テレビ画面内の自動車や飛行機を操縦する第3弾のソフトを9月に発売したが、浮上の兆しがない。

ゲーム情報誌「ファミ通」の調べでは、ラボは第3弾のソフト発売直後の週こそ国内で約1万4千本を売ったが、10月半ばに週3千本程度と落ち込んでいる。
「ゲームとしてやり込める要素が少ない」(ゲームソフト会社)との指摘が多い。

スイッチ本体の伸び悩みも招いている。昨年は発売後に大きな人気となったが、4〜9月は507万台と前年比4%増にとどまった。
国内販売が減少したのに加え、売上高の半分弱を占める米州でも減速気味だ。
任天堂は今夏以降、米国の小売店で本体とソフトのセット販売を相次ぎ始めた。
期間限定でソフトを半額などで買えるようにし、本体販売を下支えしようとした。取引先幹部は「北米での苦しさを象徴している」と指摘する。

「業界の目はすでに(任天堂の競合の)ソニーの次期ゲーム機に向いている」(ソフト会社幹部)との指摘もある。
ソフト会社は開発資源をどのゲーム機に振り向けるかが重要な経営戦略。
スイッチよりソニーの次期ゲーム機を重視し、スイッチのソフトがそろわなくなればゲーム機としての魅力は薄れてしまう。