── 今回はポリティカル・コレクトネスで選ばれたような作品が多かったですね。だから、押井さん的にも不調だったのでは?

押井 そうです。全不調。唯一ポリコレじゃなかったのは(デヴィッド・)フィンチャーの『MANK/マンク』じゃないの? さすがフィンチャーだと思ったけどね。
韓国移民を描いた『ミナリ』なんて、私の人生には1ミリも関係ない映画だった。
観るものがなくなっても観ないような作品。
これは今年の色を最も強く反映しているんじゃないの。移民で人種で家族の話。
今のハリウッドはもうソッチに振りきれている感じ。ハリウッドはエンタメの殿堂だったはずなのに、そういう映画は見事に抹殺されている。
今年のオスカーを選んだ感想としては、ポリコレに振り回され、ハリウッド映画が面白くなくなった、これに尽きますね。
妙に真面目な社会派的な作品ばかりで、まるで裃(かみしも)をつけているようにかしこまっている。エンタメの匂いゼロですよ!

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