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●「大作ゲームが売れない時代」の投資戦略とは
 
 一方、ゲーム・セクターに注目する投資家にとっては、当初、2024年の発売が想定されていた任天堂の次世代機が遅れる
ことで、今年前半の投資は、難しい状況にあると言っていいだろう。17年3月発売の「Switch」の出荷台数は初年度で274万台
だった。次世代機の初回出荷台数は、これよりも大幅に増えると見ているが、仮に25年3月発売だとしても、AAA(500万本
以上販売される大型タイトル)クラスの開発費、数百億円を回収するのは難しい。このため、今期のゲーム業界を投資家の
目線で見れば、任天堂なら「Switch」、ソニーなら「PS5」という現行機種でいかに収益を上げられるか、が大事になるだろう。
 
 また、コーエーテクモホールディングス <3635>の500万本級タイトル「ライズオブローニン」が3月に発売されたが、4月に
入っても販売本数に対する発表がなく、大きく伸びている状況にはないようだ。4月15日に同社は通期の売上高と営業利益を
大幅下方修正したが、「ライズオブローニン」や、昨年9月発売の「Fate」が計画を大きく下回ったことが大きかったと思われる。
この下方修正は、大作ゲームがヒットしにくくなっている現在のゲーム業界の状況を表していると言えよう。

 もちろん、全てのゲームが成功しないわけではない。同じく3月に発売されたカプコン <9697>の「ドラゴンズドグマ2」は
250万本の販売を達成しており、より低廉な開発費だと推測されるセガサミーホールディングス<6460>の「ペルソナ3」や「龍が
如く8」がかなり速いペースでミリオン・セラーとなったことを考えると、「大作が容易に売れなくなっている」ことは今年のゲーム
業界への投資戦略を考えるうえで重要であろう。