スクウェア・エニックス・ホールディングス(スクエニHD)が4月30日、まもなく発表される2024年3月期の連結決算で、約221億円のコンテンツ廃棄損を特別損失として計上すると発表し、ゲームファンの間で話題になっています。特に「HDゲームタイトルの開発方針の見直し」という言葉に反応してか、私の元にも「開発中の『ドラゴンクエスト12』はどうなるのか?」という問い合わせがありました。現状から分かることを考えてみます。
 
今回のような巨額の特別損失を計上するのは、損失に耐えられる強固な経営基盤があるからできること。同時に、情報開示の透明性を図る意志の表れです。そしてスクエニHDは昨年に新社長が就任し、改革をしやすい事情もあるでしょう。
今回の特損を受けて、ネットの評価はよろしくないようです。ヤフートピックスでも「スクエニHD特別損失221億円 波紋」として、記事が取り上げられました。「波紋」というのは、「次々と周囲に動揺を伝える影響」などという悪いニュアンスの意味です。
しかし株式市場の反応は逆です。今回の巨額の特損計上で悪材料がなくなり、来期以降の業績を期待してか株価が跳ね上がりました。このパターンの株価上昇は「あるある」で、予想通りでした。それは同社の持つ「ドラクエ」「FF」などのコンテンツの強さが、評価されている……とも言えます。「ドラクエ、FFの依存しすぎ」というのは、その通りであり、一つの評価でしょう。ただし、同時にそれは「エース」がいる(しかも2人)という絶対的な強みがあるとも言えます。
(中略)
ともあれ、巨額とは言え特別損失の発表で、これだけ話題になるということは、人気タイトルを保持する同社の人気の裏返しとも言えそうです。
 
https://i.imgur.com/INk53G0.jpeg