炭焼き職人田原源五郎氏の朝は早い
「好きで始めた仕事ですから」
そう言って田原氏はKLX125にまたがる。彼の仕事場は山道を10kmほど登った先にある炭焼き小屋だ
ガレゲロを越えて小屋までいくのにこの車両は欠かせない
「要は慣れですよ、炭焼きも同じです」
そう言って笑った田原氏の顔に刻み込まれた皺が、彼がこの仕事にかけた年月を物語っていた

焼きあがった炭は小屋の横手に積み重ねられる
「2昼夜冷ましてやっと完成なんです」
そういいながら今度は仕上がった炭を次々と滑車の付いた籠に放り込む
小屋の裏手から自宅庭の柿の木に渡されたロープもまた長い時を刻んでいるようだ
「私と炭運びのロープウェイ、どっちが先ですかね」
はにかんだように笑いながら、田原氏は手間ひまのかかる仕事を黙々とこなしていく