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【シリコンバレー=佐藤浩実】
米半導体大手エヌビディアが19日発表した2020年5〜7月期決算は、売上高が前年同期比50%増の38億6600万ドル(約4100億円)だった。巣ごもり需要の拡大でゲーム用GPU(画像処理半導体)やデータセンター向け半導体の販売が伸び、9四半期ぶりに過去最高を更新した。純利益は13%増の6億2200万ドルだった。

ゲーム事業の売上高は26%増の16億5400万ドルだった。新型コロナウイルスの感染拡大で自宅で過ごす時間が増え、エヌビディアのGPUを搭載したゲーム用パソコンを購入する人が増えたためだ。任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売好調に伴い、スイッチに供給している基幹部品の販売も前の四半期と比べて増加した。

データセンター事業は2.7倍の17億5200万ドルだった。クラウド事業者などがサービスの基盤となるデータセンターを増強しており、人工知能(AI)計算用の半導体需要を押し上げた。4月に買収したメラノックス・テクノロジーズ(イスラエル)の売り上げも5億ドルあまり寄与した。

エヌビディアにとって、データセンター事業の売上高がゲーム事業を上回るのは初めて。2本目の柱が育ったといえる。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は「ゲームやAI、クラウドといった分野が次なる産業革命を起こしており、エヌビディアは成長できる立場にある」と述べた。一方、注力している自動車向けの売上高は新型コロナの影響で前年同期と比べて47%減った。

8〜10月期の売上高は44億ドル前後を見込む。前年同期と比べて5割近く多い水準で、5〜7月期の実績も上回る見通しだ。

ソフトバンクグループと進めているとされる英半導体設計アームの買収計画について、ファン氏は決算会見で具体的には説明しなかった。一方でアームについて「我々の長期的な協業相手だ」と話し、「とても親しく仕事をしている」と述べた。アームの設計技術を用いた半導体が電力効率に優れることを褒め「自動運転やニンテンドースイッチ向けの部品など、さまざまな用途でアーム(の技術)を活用している」と話した。