https://xtrend.nikkei.com/atcl/trn/column/16/032800001/041300003/?P=2

『モンスターハンタークロス』の大ヒットで締めくくった2015年

――まず、カプコンにとって2015年はどんな1年だったか教えてください。

辻本春弘社長(以下、辻本): 2015年の最大のトピックと言えば、11月28日に発売した『モンスターハンタークロス』です。これまで数字のナンバーを付けた作品を販売してきましたが、今回は「クロス」という新たな展開をスタートさせました。「モンスターハンター」シリーズは2004年3月の発売から12年がたち、新たなユーザーを開拓する必要に迫られています。そうしたこともあって、ゲーム内容や遊び方をリニューアルし、あえてナンバーを付けなかったのです。

 期中における販売目標は250万本で、『モンスターハンター4』や『モンスターハンター4G』よりも控えめに設定していました。もちろん「東京ゲームショウ 2015」や体験会でのユーザーの反応がいいので、ある程度の手応えは感じていましたが、ナンバーの付いたタイトルに比べると、やはりユーザーは購買に二の足を踏むかもしれないと思っていたからです。

 ところがふたを開けたところ、発売1カ月足らずで300万本、2015年内に320万本を出荷し、『モンスターハンター4G』を上回るほど好調な出足となりました。2016年に入ってからもランキングの上位にいますから、ユーザーからの高い支持を実感しています。

――10年を超えるロングセラータイトルとなった今、ユーザーも様変わりするだろうということで、「モンスターハンター」シリーズに新たな客層を取り込みたいとのことですが、結果はいかがでしたか。

辻本: 『モンスターハンタークロス』の購買データをチェックしたところ、小学校高学年から中学・高校・大学生と、若いユーザー層がボリュームゾーンとして浮かび上がってきました。初期から楽しんでいただいている方々は、今ではほとんどが社会人になっているでしょう。その点、多くの若い方々を取り込めたということは、「モンスターハンター」ブランドの“活性化”につながったわけですから、『モンスターハンタークロス』は非常に意味のあるビジネスだったと評価しています。

 「モンハン現象」と呼ばれるブームを生み出したのは、学校の帰りや喫茶店のような所で仲間と集まって遊んでいただいていたユーザーの方々です。彼らのような「モンスターハンター」に対する支持の高かったユーザー層が、『モンスターハンター4』や『モンスターハンター4G』では、若干少なくなっていました。

 シリーズ作品は年数がたてばユーザー層の年齢が上がるのも仕方のないことかもしれません。しかし、カプコンはシリーズ作品を“ブランド”と認識し、大切にしている会社です。それを維持していくには、シリーズを開発した当初設定した対象年齢の方々の購買意欲を、現在においても再び喚起するようなブランディングを行うことが重要です。これは「モンスターハンター」に限らず、他のシリーズ作品についても同じことが言えます。