MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の興行収入は200億ドルを超えるが、それら映画の根幹となるストーリーやキャラクターを製作したクリエイターたちへの待遇は決して良いものではないようだ。

ほとんど見返りもなく自分の作品を利用されてしまったクリエイターたちが声を上げ始めている。

マーベルのクリエイターたちの間では「報奨金を受けるのは困難」という共通認識がある。

作家が生み出した著作物はスタジオが著作者となる、いわゆる”職務著作”のルールが適用されるためだ。会社側はどれだけ利益を得たとしても、作家に対しては、定額の給与とロイヤルティー以外に何ら支払責任を負わない。

とは言え、マーベルは人気作家に”エクイティ”と呼ばれる奨励金を与えている。映画で取り上げられた作品のクリエイターに小切手5千ドル(約55万円)とプレミア上映会の招待状を贈る慣習があるようだ。

しかし莫大な利益を生み出す作品の基礎を作ったクリエイターにとって、これらはあまりに取るに足りないインセンティブでしかない。

マーベルもDCもこれら一律の報奨金とは別に”特別キャタラクター契約”の交渉ができる仕組みを持つ。しかしマーベルの場合はこの存在を知らないクリエイターも多いようで、声を上げた人だけが交渉権が得られると言っても過言ではない。

「私は本当にひどい”特別キャタラクター契約”を持ちかけられました。それに合意するか、しないかの二択だったのです。私の作ったキャラを称えるのではなく、彼らは礼状と5000ドルを送ってきただけでした。映画は10億ドルを稼いだのにです」と匿名希望のマーベル作家は不満を述べている。

マーベルには作家たちに対して契約を超えた部分での道徳的義務がある、と指摘するのは『ブラックパンサー』作家のタナハシ・コーツ氏。「契約だから正しいとは限りません。それはただの律法主義です。私に影響力があれば、あなたを無茶苦茶にする契約書にサインさせることも可能でしょう」と強調している。

https://www.theguardian.com/books/2021/aug/09/marvel-and-dc-face-backlash-over-pay-they-sent-a-thank-you-note-and-5000-the-movie-made-1bn