ソニック・ザ・ヘッジホッグシリーズのクリエイターの一人である中裕司氏が、インサイダー取引の疑いで逮捕されたという最近のニュースは、日本のゲーム業界を揺るがした。

1990年代に名を馳せた人物の潜在的な失脚は、もっと象徴的な意味を持つかもしれない。同じ週に中国の人民日報に掲載された、ビデオゲーム分野の戦略的計画を強化するよう求める論評は、一部の業界関係者にとって衝撃的なものだったであろう。
ゲーム産業は「中国文化の促進」と「世界における中国の影響力強化」という重要な役割を果たすことができると、この論評は言う。

日本はこれを警告と受け止めるべきだろう。中国は、より小さな隣国のソフトパワーを当然ながら羨ましく思っている。言葉の壁は大きいにも関わらず、日本はゲームやアニメといったポップカルチャーの分野では、自らの重みを超える実力を発揮しているのだ。
それらの分野は、経済的には衰退しているかもしれない日本が友人を勝ち取り、国際的な地位を維持するために重要なツールであることを証明されているものである。

他の多くの産業と同様、この分野も中国が支配したいと望んでいる産業の一つである。?それは、もはや突飛な目標ではない。たとえば原神のようなファンタジーRPGを考えてみよ。
それは見た目も雰囲気も極めて日本的であり、発表当時は一部から抗議を引き起こすほどであった。しかしそれでもなお、このゲームは中国で企画・開発されたものである。またそれは業界の権威あるイベントでベストモバイルゲーム賞を受賞し、昨年は13億ドル(1780億円)もの売上を記録した。

これは、日本のどのモバイルゲームが生み出すよりも相当に多い金額である。昨年10億ドル(1370億円)以上を売り上げた8つのモバイルコンテンツのうち、日本のものはひとつもない(ポケモンGOは日本のIPを使用しているが、サンフランシスコに拠点を置くNianticによって作られている)。
当初の懐疑論にも関わらず、原神は日本でもヒットしている。

ゲームを利用して目標を推進しようとしているのは中国だけではない。欧州連合も同様の構想を抱いている。最近、欧州議会で可決された法案は、「ヨーロッパの価値」を促進するために、欧州圏のビデオゲーム戦略を求めている。
この法案はインセンティブの促進と知的財産を発展させるための汎欧州的な戦略を呼びかけることに主眼を置いている。

この最中において、日本は立ち止まっている。ある年齢層においては、任天堂、プレイステーション、セガなど、中高年者の記憶に刻まれた名前とともに、日本はビデオゲームの代名詞である。
そのせいもあってか、日本は自国の産業を保護し振興するために積極的に行動する必要があるとは思っていないようだ。